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2011.8.16

近衛公と宴席

作家で僧侶の今東光氏の心に響く言葉より…

亡くなった昔の近衛(このえ)公爵、総理大臣のね。
近衛家は五摂家(ごせっけ)の中でも政治家の生まれる家柄なんだ。
オレはいろんな意味で近衛さんに感心したんだが、あの方は生まれながらのエリートだった
ということの上に、非常に政治家としての天賦の才を生まれつき持っていたと思う。


こんなことがあった。
ある時、彼の弟やみんなが集まった赤坂だったか新橋かの宴席で、芸者達がワーッとやって来た。
近衛さんは当然、床の間の正面に座っている。


我々予備軍は、わきの方にはべっていると、一流のいい芸者はずっと公爵のところへいってお酌をしている。
ところが近衛さんは「こちらに注いであげて」「あちらに注いであげて」と言って、
自分の前に来る芸者をよそに回して捌(さば)いちゃうんだ。


よく部屋の入り口に、名もない器量の悪い芸者がいるよね、やっぱり大一座には。
それを近衛さんが呼ぶんだ。
「あれを呼べ」って。


そうすると姐さん芸者がバカにして、「何々ちゃん、御前(ごぜん)がお呼びよ」と。
呼ばれたその芸者はもうブルっちゃってな。
びっくりしてやっとの思いで上座に来た奴に注がせると、自分が飲んでから「君に一杯御返杯」と、
今度は近衛さんが注ぐんだよ。
この芸者、もう夜も眠れないで、感激しちゃってよ。
そのやり方がいかにも自然なんだ。
わざとこれ見よがしじゃなく、他の客が気がつかないくらいにスッとやる。


オレはこれを見た時、「おお、こりゃできてるな。これが人に接する道だ。これは天性の政治家だな」と。
そういう配慮が庶民の隅々にまで行きわたる。
これこそ真の政治家だよ。


ところが田舎っぺの国会議員なんていうのは、そんなド真中にいて、
ナンバー・ワンとナンバー・ツーを左右に抱いちゃって、
「議会でな、おれ、この間やってやったんだ…」てなことを言ってやがる。
馬鹿野郎もいいところだ。
田舎っぺなんてそんなもんだ。


女の美醜も、男の才能も、親の計らいでもなきゃあ、己の計らいでもなく、与えられたものなんだ。
それなのに、綺麗な人にはみんなちやほやするがブスは構いつけない。
これじゃ田舎っぺの代議士と何ら変わるところがない。


『毒舌 身の上相談』集英社文庫


人の評価は、大きなことではなく、日常のさもない振る舞いや行動で決まる。
特に、人間の本性が出やすいのは、リラックスした宴席の場や、
反対に逃げ出したくなるような緊急の場での、些細な言動や態度に表れる。


人は、誰しもが、ちやほやされたり、持ち上げられたりすることを好む。
だからこそ、そういうおだてに乗ってしまう人間は、「品性卑し」と見られる。


おだてに乗る人間は修行が足りない。
華やかな席であればあるほど、日の当らない人、陰で支えてくれている人に声をかけ、
気遣う人は、人と接する道を究めた一流の苦労人だ。


どんなときでも、誰に対しても、細かな配慮と、気遣いを忘れない人でありたい。



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