2011.8.1 |
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常にアンテナを立てる |
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岡野雅行氏の心に響く言葉より…
うちにくる仕事っていうのは、大企業が5年先、10年先をにらんで
戦略的に開発をすすめている未来型の製品ばかりなんだけど…。
そういう仕事をしていると、自分なりに世の中の先が見えてしまうんだ。
カメラだって、フィルムのいらないデジタルカメラが主流になってきた。
フィルムがなくなっちゃうと、街の現像屋さんがなくなってしまうでしょ。
それから、DVD。
フラッシュメモリーというカードみたいのをポンと入れれば、映像も全部出る。
近い将来、CDもMDもなくなっちゃう。
CDやMDだけで済めばいいけど、それを回しているモーターまでいらなくなる。
だから、こんどはモーターをつくっている会社が潰れてしまう。
燃料電池の実用化がすぐそこまで来ているから、実用化すればもう発電所も原子炉もいらなくなるよ。
550リッターの冷蔵庫くらいのパッケージが一つあれば、それで5.6人の家庭の電気はまかなえる。
工場は無理だけど、家庭だったら、それで十分間に合うよ。
うちで何か一つつくると、必ず何かがなくなる。
これからの時代、常にアンテナを立てて、目を見開いて、
走っていかなければあっという間に取り残されてしまうからね。
生半可なことをしていたら消えて無くなってしまうのが厳しい現実の流れなんだから。
みんな不景気だ、不景気だなんて嘆く暇があったら、少しは頭を使って知恵を絞ったらどうなんだい?
金はなくても、頭の中の発想は無限でしょう。
身の周りを見回してごらんよ。
同じ小さな部品をつくるにしても、木の葉のように薄くて軽いものができないかとか、
まるで生き物のように環境を汚さない工業製品ができないかとか、
あるいは、いままでほかの人が考えたこともないような加工法で同じものをつくるとか、
やることはいくらでもあるはずだよ。
要するに、人と同じことばかり考えてやっているから、
あとから同じことを始めたところに敵わなくなってくるわけだ。
だって、日本もアメリカやヨーロッパの製品より安くていいものをつくったから、
経済大国になったわけでしょ。
人件費の安い中国やアジアの国々が追い上げてくるのは当然だよ。
『不可能を可能にする あしたの発想術』KKロングセラーズ
大きな技術革新により、一つの産業や会社がまるごと無くなってしまうことはよくある。
古くは、クオーツの時計の誕生により、機械式時計産業が全滅した。
コンビニや、Amazonの台頭により、地方の街の本屋のほとんどがなくなった。
CDやMDへの移行によりレコードやカセットテープが消え、こんどはそのCDやMDも絶滅するかもしれない。
携帯も、折りたたみ式からスマートフォンに変わるだろうし、
広告やテレビや新聞もインターネットに変わるかもしれない。
「ゆで蛙(かえる)」の例えのごとく、我々は、徐々に変わっていく環境の変化には鈍感だ。
すっかり世の中が変わってしまって、そこでようやく気づくことがほとんどだ。
中国の四書五経の一つ「大学」の中の一節に、
心ここに在(あ)らざれば
視(み)れども見えず
聴(き)けども聞こえず
食(く)らいてその味を知らず
気もそぞろで、うわの空で、地に足がついていないような、フワフワとしているときは、
何を見ても、見逃してしまうし、何を聞いても、耳に入ってこないし、何を食べても、食べたものも覚えていない。
「ぼんやりと、うわの空で生きる」には、あまりに人生は短い。
仕事や環境は、常に刻々と変化している。
常にアンテナを立て、目を見開いて走りたい。 |
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