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2011.7.28

先見性を身につけるには

邱 永漢(きゅう えいかん)氏の心に響く言葉より…

先見性というからには、大抵の人には見えないが、自分には見える、というのでなければならない。
誰にも見えるようなら、打つ手も同じで、人に抜きんでることができないからである。

世の中にはカンのよい人とカンの悪い人がいるが、カンと先見性には密接な関係があると思う。
ただ、カンといったのでは、捉えどころがなくなってしまうので、私は好んで感度という科学用語を使っている。
感度のよいレシーバーは、遠くにおこっている現象を人より早くキャッチする。

では、この感度はどうやって養成すればよいのだろう。

まず第一にできるだけ情報を多く得ることである。
情報とは、新聞、雑誌に載っているものもあれば、人からきくものもある。
知らない土地を旅行したり、違う業界を視察することから得るものもある。
したがって、多くの本を読み、交友の範囲をきまった人々に限定しないで、
新しい友人をつくったり、新しい経験をする必要がある。

第二に変化によく気をつけることである。
私たちの生活は、昨日が今日につながり、今日が明日につながっているので、
変化という突然おこった事件のようなものを連想しがちだが、変化とは生活環境におこってくるものを指す。
たとえば、トイレット・ペーパーが新聞から藁紙へ、藁紙から桜紙へ、
桜紙からいつの間にか巻紙にかわって行くことを云う。
こういう変化の継ぎ目のようなところに気をつけて、
この次はどういう変化がおこるかを予見することができたら、それは先見性といってよいと思う。

第三に納得のできない社会現象がおこったら、
それは今までになかった新しい現象ではないかと考えてみることである。
不景気になれば物価が下がると、一昔前の本には書いてある。
ところが、最近は不景気になっても逆に物価が上がる。
こういう不可解な現象がおこった時、拒否反応を示してはいけない。
拒否反応は、過去の自分の体験にもたれかかって物を考えるからであり、
その姿勢しかとれないことは老化現象といってよいと思う。

『食べて儲けて考えて』PHP


いつもとは違う、少し違和感を感じるような行動をとらなければ、新しい情報は入ってこない。
違和感とは、普段と違った友人、知人と会い、行ったことのないような新しい場所に行き、
ジャンルにとらわれないたくさんの本を読むこと。

変化の継ぎ目を感じるには、好奇心が必要だ。
話題になったところをみて、流行の物に接し、体験すること。

納得のいかない拒否感を覚えるような社会現象が起こったときは、
自分の経験や思い込みの延長線上にないことが起きたとき。
政治、経済、産業、IT、海外、事件、そしてスポーツや、ファッション、音楽等の様々な分野で…

固定観念は時代によって変わる。
違和感、拒否感、理解不能、納得のいかないことは、変化の徴候だ。

先入観や固定観念を捨て、もっと身軽になって、時代を見通す感度を身につけたい。



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