2011.7.17 |
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成熟した大人であること |
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樋口裕一氏の心に響く言葉より…
よく、「オレは誰に対しても同じ態度を取る」と自慢する人がいる。
目上の人に対しても、目下の人に対しても、同じように接するということだろう。
そして、多くの人が、そのような態度を望ましいと思っているらしい。
しかし、私はそのような人は二重の意味で間違っていると思っている。
第一に、そのように言う人であっても、実際には、絶対に同じ態度は取っていない。
誰でも目上の人と目下の人とでは態度が異なる。
同じ言葉遣いをしてはいないし、
そもそも、目上の人に対してとそうでない人に対しては、自分の役割が異なる。
それどころか、家庭では、子どもに対しては親の役割を、妻に対しては夫の役割を果たし、
そのような言動をしているだろう。
そして、そもそも「オレは誰に対しても同じ態度を取る」という考え方自体、間違っていると私は考える。
誰に対しても同じような態度を取る人は、社会的に成熟していない、ということにほかならない。
社会の中で生きるということは、社会的な役割を果たすということだ。
つまりは、本音を言って素のままの自分でいるのではなく、
相手に合わせて違う自分を演じるということにほかならない。
自分らしさを断固貫こうとしている人は、他者に愛されることは少ない。
自分の個性を十分に生かしながら、
柔軟性を持ち、相手に合わせて少なくとも自己演出できる人間である必要がある。
『「人間通」の付き合い術』中公新書クラレ
勘違いした若手の経営者や政治家で、年配者や先輩に対して、タメ口で話す人がいる。
あるいは年下の人に対して、異常に先輩風をふかして、威張る人もいる。
粋がって見栄を張る、情けない行為だ。
自分より弱いもの、言い返さないものに対して、強がる態度は恥ずかしい。
たとえ学校時代の友人であろうと、後輩であろうと、公の場で、友達口調で話すのは、
自分を偉そうに見せているのと同じ。
つまり自分は、「ガキ大将のように成熟していない子どもである」、と宣言しているようなものだ。
虚勢を張らず、誰に対しても謙虚に接する人こそが、成熟した大人。 |
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