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2011.7.12

顧客へのワンストップサービス

ワールドビジネスコンサルタント、マーク・M・ムネヨシ氏の心に響く言葉より…

ホノルルに、私たち夫婦がいつも楽しく食事をしているレストランがあります。
世界中のどこの街にでも見かけるごく普通のレストランです。
お客さんも近所のおじさん、おばさん、おにいちゃん、おねえちゃんが、
サンダルを履いて、半ズボンで来るような24時間営業の気楽なお店です。
ときには、ハワイの地元の味を楽しみたい観光客も来ますが、
高級レストランでもなんでもありません。

一見なんの代わり映えもしないレストランですが、このお店にはちょっとした秘密があります。

食事がおいしい?
たしかにリケリケの食事はおいしいのですが、レストランがおいしい食事を出すのは当たり前ですね。

流行っている?
24時間いついってもお客さんがしっかり入っているという意味ではたしかに流行っていますが、
おいしいレストランが流行るのもこれまた当たり前ですね。

ウェイターが美人?
中には美女もいますが、大半はおばちゃんです。
まあ、平均的です。

答え。
このレストランのウェイトレスの仕事には「ウエイティング・リスト」があります。
現職のウェイトレスがレストランを辞めたら、
次は私がなりたいという「空き待ち」の希望者がたくさん待っているのです。

このお店の社員には、3代続けてリケリケで働いているウェイトレスがいます。
この店でしっかり働けば、子どもを楽々育てられるくらい稼げますから、
この仕事を他人に渡したくないんです。

なぜ、それほど稼げるのか。
店に入ればわかります。
ウェイトレスたちがイキイキと楽しそうに働いています。
幸せそうに働く人たちを見ているとこちらも楽しくなりますね。
お客さんとウェイトレスの間に至るところでジョークが飛び交っています。
店全体になんともいえない活気があります。

彼女たちの働きぶりをじっくり観察すると、日本のファミリーレストランに比べて、
ウェイトレスがいかにたくさんの仕事をこなしているかがわかるはずです。

大事なポイントは、リケリケでは1組のお客さんの接客を、一人のウェイトレスが、
席への案内から代金受取りまで、最初から最後まで行うということです。

お客さんの側から見ると、一人のウェイトレスがリケリケという店を代表して、
終始一貫して顧客に対応しているということになります。
こういうサービスの仕方を、経営用語では「顧客へのワンストップサービス」といいます。

中心的な仕事を越えてたくさんの仕事をこなす社員のことを、「マルチプロセッサ社員」と呼びます。
パソコンのCPU(プロセッサ)が、多くの計算を同時進行的に行うことをマルチプロセスといいますが、
そこから取った言葉です。

『世界一働きたい会社を創ろう』フォレスト出版


分業は色々な意味で、問題を抱えている。
責任が曖昧になり、誰かがやってくれるだろうと、意欲が落ちることも多い。

東洋医学と、西洋医学の違いのようでもある。
西洋医学は、診療科目が細かく分かれているように、専門に特化し、病気を部分に分ける。
しかし、一方の東洋医学は、ある病気を治すために、
全然別の違うところを治療したりするといったように、つながりと全体を重視する統合の治療だ。

分業は、トヨタが始めた「カンバン方式」というジャストインタイム生産方式と相反する考え方だ。
時代の要請である多品種少量生産を貫くには、
できるだけ一人で一つの物を流れの中で造り上げるという、
この生産方法が一番合っている。

よく引き合いに出されるのは、屋台のラーメン屋だ。
一人で全てをつくり、提供し、お客さんと接する。

人は、部品や駒(こま)になったとき、生きがいがなくなる。
しかし、全部を一人でやり遂げたときには、成果もわかり、やりがいも出てくる。

禅で言う「随所作主(ずいしょさくしゅ)」。
随所に主となることは、どこでも自分が主役であることを自覚すること。

全ての職場や家庭で、「顧客へのワンストップサービス」という視点があるとやる気が出てくる。



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