2011.6.12 |
|
いきなり咲く花はないよ |
|
中村勘三郎氏の心に響く言葉より…
『いきなり咲く花はないよ』
次々と新しい仕事に挑んでいると、
よく、他分野の演劇人や演出家とたちまち話がまとまったのかと誤解されます。
相手の良い仕事を見てコラボレーションを企画したのか、とかね。
でもそれは違う。
「野田版 研辰(とぎたつ)の討たれ」を書いてくれた野田秀樹さんも、
中村座ニューヨーク公演を共にした串田和美さんだって、もう20年、30年の付き合いです。
若い頃に出会い、飲みながら演劇の夢を語り、いつかいつかと熱を込めながら育てて花開いた舞台なのです。
その間に互いの仕事をきちんと見てきたし、何を考えているのか、
どんな舞台を目指しているのか、腹の底まで知り尽くしてきた。
そのくらいの友人でないと本音で新しいことに体当たりすることはできない。
今は働いている土俵が違っても、あいつがあそこで頑張ってるなと思うから、
自分もいい加減なことはできないぞというの、あるでしょ。
仕事への熱さが同じ人間は互いに分かりますからね。
やはり類は友を呼ぶ。
そしてその友人たちがまた、私にエネルギーを注いでくれる。
ただ自分の居場所にじっとしていてはだめなんですよ。
外へ外へと出て行って、巡り合って育てていかないと。
机の前に座って情報を集めるだけでは、そこに熱がない。
あなたを認めもしないし、刺激もしないし、ホロリともさせないじゃないですか。
私は運がいい、とてもよい縁に恵まれていると感じていますが、
突き詰めていくとそれは友人の存在なのです。
『仕事力』朝日新聞社
多くの人は、売れているもの、成功したやり方を見て、「あんなの簡単だよ」、「俺だってできるさ」と言う。
出来上がったもの、完成されたものを見て言うことは誰でもできる。
しかし、成功する前には、継続した努力と、長い準備の期間が必要だ。
「いきなり咲く花はない」
友人関係にしてもそれは同じだ。
「益者三友(えきしゃさんゆう)・損者三友(そんしゃさんゆう)」
という論語の言葉がある。
直言してくれる友、義理堅い友、見聞豊かで博識な友は、付き合って有益な友だ。
こびへつらう友、表面(おもてづら)はいいが誠実味のない友、
口先だけ達者な友は、付き合うと損になる友だ。
往々にして、我々は調子のいい人、言葉巧みな人と付き合ってしまうことがある。
しかし、大事なことは、長く付き合うにたる友であるかどうかだ。
長く付き合うには、その人にとって本当に大事なことなら恐れずに直言してくれ、
義理堅くて、そして、表面的にはぶっきらぼうかもしれないが、誠実であることだ。
「朱に交われば赤くなる」という。
悪い友と付き合えば悪くなる。
誠実な友、運のある友と付き合えば、運もよくなる。
いい友人を持つことは、運を呼び込む最高の秘訣。 |
|
|