2011.5.10 |
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だっこのしゅくだい |
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神渡良平氏の心に響く言葉より…
ある小学一年生に「だっこのしゅくだい」がでた。
その作文から…
せんせいが、「きょうのしゅくだいは、だっこです。おうちの人みんなにだっこしてもらってね」といいました。
ぼくもみんなも「ええーっ」とびっくりしました。
だって、だっこのしゅくだいなんて、はじめてだからです。
なんかはずかしいとおもいました。
でも、うれしかったです。
いそいでいえにかえりました。
いえにかえって、すぐ、おかあさんに、「だっこがしゅくだいにでたんよ。しゅくだいじゃけえ、
だっこして」と小さいこえでいいました。
おかあさんは「へえ、だっこのしゅくだいでたん?」とびっくりしました。
でも、すぐ「いいよ」とにっこりしていってくれました。
おかあさんはすわって、ぼくをひざにのせて、りょう手できゅうっとだきしめてくれました。
おかあさんのからだはぬくかったです。
だっこしてもらっていたら、ぼくのからだもぬくくなりました。
ぼくが「おうちの人みんなにだっこしてもらわんといけん」といったら、
おかあさんがちっちゃいばあちゃんに「だっこしてやって」といってくれました。
ちっちゃいばあちゃんはわらって「おいで」といって、だっこしてくれました。
そして、「大きゅうなったねぇ」といってくれました。
つぎは大きいばあちゃんにだっこしてもらいました。
大きいばあちゃんはぼくをだっこして「おもとうなったのう」といってくれました。
さいごはおとうさんでした。
おとうさんはいきなりりょう手でぼくのからだをもちあげて、どうあげをしてくれました。
ぼくのからだはくうちゅうにふわっとうかんで、きもちよかったです。
おとうさんはぼくをゆっくりおろして、ぎゅっとだきしめてくれました。
おとうさんのからだはぬくかったです。
ぼくはまたしてもらいたいとおもいました。
だっこのしゅくだいがでたから、かぞくみんなにだっこしてもらいました。
さいしょははずかしかったけど、きもちよかったです。
だっこのしゅくだい、またでたらいいなとおもいました。
《だっこのしゅくだい》より
この本を読んで感動した千葉市のある市会議員がこの部分をコピーして、小学校の先生方に配ったそうです。
「『だっこのしゅくだい』を宿題に出していただけませんか。あれこれ説明はいりません。
ただ抱きしめるだけでいいんです。
それだけで子どもは親の愛の温もりを感じるんです」
そしてそれがブームとなり、千葉市から千葉県全域に広がっていきました。
だっこには親の愛を実感させる力があるようです。
『孤独になる前に読んでおきたい10の物語』講談社
子どもに対するいちばんの愛情表現はスキンシップ。
手をつないだり、肩を抱いたり、頬ずりをしたり、抱きしめたりすること。
スキンシップは無条件の愛だ。
だが、子どもが大きくなるにつれ、スキンシップはだんだんと少なくなっていく。
大人であっても、抱きしめることが必要な時がある。
それは、あまりの悲しみに出会ったとき。
そんなときは、どんな慰めの言葉も空虚になってしまう。
ただ抱きしめ、一緒になって泣いてくれる人がいるだけで癒される。
「ぎゅっと抱きしめること」、は温かな愛が伝わること。 |
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