2011.4.5 |
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頑張れという言葉 |
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志賀内泰弘氏の心に響く言葉より…
噺家の柳家小三冶師匠は多趣味で凝り性。
オーディオやオートバイに詳しいことは有名だ。
その師匠が今度は英語の勉強をはじめた。
アメリカへ短期留学するほどの熱の入れよう。
習い始めて、一つの言葉に魅(ひ)かれたという。
道で目の不自由な人を助けたとする。
相手は「サンキュー」と言う。
こちらは「ユア・ウエルカム」と答えるのが常識。
ところが、である。
最近のアメリカでは違うらしい。
「サンキュー」と言われたら、「マイ・プレジャー(My pleasure)」と答えるのだという。
つまり「私の楽しみですから」。
もっと意訳すれば、「わたしゃ好きでやってんだから、気にしないでおくれよ」ってところか。
そのとおり。ボランティアっていういのは、相手のためになんて大上段に構えるとかたくるしい。
「他人の役に立ちたい」という心の奥から湧き上がる自然の気持が大切だ。
つまり、自分自身も楽しいこと。
そういえば、もう一つ思い出した。
「ガンバレ!」と背中をポンと叩いて送り出すとき、英語では「Take it easy」となる。
意訳すれば「気楽にやれよ」だ。
なんともニクイじゃないか。
昇進したとき、旅立ちのとき、卒業するとき、誰もが緊張の中にいる。
そんなとき「ガンバレ!」では気が重い。
肩の力を抜いてこそうまくいゆく。
それこそ相手の気持ちを慮(おもんぱか)ったせりふである。
『元気がでてくる「いい話」』グラフ社
病気で長く入院している人が、見舞いの人から「頑張って」と言われるのはとても辛いという。
こんなに頑張っているのに、もっと頑張れ、というのか、と。
大震災の被災地の方々も異口同音に「頑張って」と言われる。
これも、同様にとても辛いという。
日本では、努力と言う言葉が好きだ。
そして、無意識に、今まで以上の努力を求める言葉、「頑張って」を使ってしまう。
ボランティアも自分が好きだからやっていること。
頑張ってやらねばならないなら、長続きはしない。
人を励ます前に、大事なことは、まず相手と共感すること。
「辛かったですね」
「大変でしたね」
「頑張りましたね」
そして、今頑張っているすべての人たちに、心からのエールを…
「信じています」
「応援してます」
「祈ってます」
そして、「テイク・イット・イージー」 |
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