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2011.1.27

丁稚(でっち)のすすめ

家具職人・秋山利輝氏の心に響く言葉より…

入社前の採用試験はとても重要です。
職人になるまでやり続ける素質がある子を、見つけなければいけません。
誰かを採用するときは命がけです。
最後までまっとうできる子かどうか見極めて、磨けば光る原石を探さなければいけないのです。

採用か、否か。
見極めるポイントのひとつは、面接中に一切反論しないことです。
就職面接のときなど、「他の人と違うことを言って目立つ」
「他の人の意見に流されない自主性をアピールする」ことが大切だと言われますが、
私は、面接中に知識で対抗する人は採用しません。
理由は、筋が通らないからです。

入社したい=私に教えられることを望んでいるわけですから、教えられる姿勢でいなければいけません。
住み込みとはいえ、研修期間はたった4年間。
短い期間で体得するためには、私の言うことを聞く素直な心が必要です。

たまに、学生時代に作った作品を持ってくる人がいますが、私は作品はまったく見ません。
どんな「もの」かで技術をはかるより、どんな「人間」なのかを見ることの方が大切だと思うのです。

採用か見極めるもうひとつのポイントは、「感謝」の心を持っているかどうかです。
職人というのは、人に感動を与える仕事だと思っています。
「人を恨んでいる人は、職人にはなれないし、成功しない」

「この人物は採用しよう!」と心が決まっても、そこで面接は終りません。
続けて、親を交えて三者面接をします。

親に会うのは、私と一緒に子供を育てる覚悟があるのか、
子供のことをどれだけ真剣に考えているのかを見極めるためです。

彼らが自分の子供にどこまで責任を取れるのかということを、自分の目で見て確かめたいのです。
入社すれば、厳しい修行の道に入ります。
私や先輩に怒鳴られ、慣れない生活が続きますから、10日もしないうちにほぼ全員が辞めたいと思うものです。

入社するときに両親の面接をするのは、そのためです。
一人前になるまでは子供を甘やかさずに、突き放せるだけの覚悟があるかどうか見極めるために。

『丁稚(でっち)のすすめ』幻冬舎

最近、秋山利輝氏の会社、秋山木工はテレビや雑誌でよく取り上げられる。

入社のときは、男も女も関係なく全員坊主頭になる。
4年間は寮に住み込み、起床は5時前。
携帯電話、親との面会、恋愛は一切禁止。
まともに休めるのは盆と正月だけ。

およそこの秋山木工は、現代の会社とは思えない、
時代錯誤とも思えるような、しきたりや規律で縛(しば)られた会社だ。
だが、こんな厳しい会社にも関わらず、求人に対して応募者は常に10倍以上だという。
全国から、この会社に入りたい若者が押し寄せる。

秋山氏は、職人になるには、厳しい修行が必要だという。
それには、江戸時代から続く「徒弟制度」という、商店主を育てる育成制度が最適だ。
江戸時代は、親方が、丁稚(でっち)を住み込みで雇い、給料を支払わない代わりに、
着るものや食べるものを与えて、一人前の店主や職人になれるように教育した。

永六輔氏の『職人』(岩波新書)の中からとても好きな一文を…

■「むかしの若い者は夫婦になるときに、<いっしょに苦労がしてみたい>と言ったもんだよ」

■「人間<出世したか><しないか>ではありません。<いやしいか><いやしくないか>ですね」

■「おい、若ェの! 何にもできなくっていいから、せめて、元気のいい返事ができねェか」

■「若いんだからしかたがないって、怒るのやめちゃっちゃ、何のための年寄りだかわからないよ。
怒ってなきゃダメだよ、年寄りは」

■「徒弟制度の世界はモノもつくってきたけど、ヒトもつくってきたんだ」

■「掃除がきちんとできない奴は、ロクなもんじゃありません。
ものをつくる人間は、まず掃除から修行するべきです」

■「お前さん、そこに座りなさい。お前さんは働きにきているんじゃない。
修行に来ているってことを忘れちゃいないかい?」

■「職人がデパートなんかで、実演と称して見世物にされているのをみると、情けなくなるねェ。
腕は客に見せなくったっていいもんだよなァ」

■「自分の作品を自分で売るようになると、品がなくなります。
自分の子どもを自分では売らないでしょう」

■「値切るっていうのは品が無いよ。高いと思ったら買わなきゃいいんだ」

■「目立たないように生きる…昔はそういう考え方でしたよね。
いまは、目立つように生きる、そうなっていますわね」

■「名声とか金は、歩いたあとからついてくるものだった。
名声と金が欲しくて歩いている奴が増えてますねェ」

日本の素晴らしい文化と伝統を守ってくれている職人たち。
一流の「職人」をつくるため、「丁稚」という古くて新しい教育の仕方がある。



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