2011.1.11 |
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アウェー脳を磨け |
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脳科学者の茂木健一郎氏の心に響く言葉より…
日本はなまじ社会の安定度が高かったために、イノベーションよりも、
どちらかというと現状維持が奨励されてきました。
ベンチャーキャピタルやエンジェルが育たず、
個人資産を担保にしないと起業できないという状況では、
優秀な人がみな安定志向になって大企業を目指すというのも、
これまでは仕方なかったのかもしれません。
それゆえ、日本人は失敗に慣れていない。
だから、アウェーに出て失敗することを異常に怖がるのでしょう。
逆にアメリカは失敗を歓迎する文化です。
シリコンバレーでは、起業して失敗することは全然不名誉なことではなく、
むしろ失敗したことで、「彼はいろいろなことを学んだはずだから」と評価が上がるのだそうです。
また、ベンチャーキャピタルも、
「50回投資してそのうち49社がつぶれても、
残りの1社が成功して株式公開にこぎつければじゅうぶん元が取れる」という考え方なので、
起業のハードルが日本に比べて格段に低いとも言っていました。
日本も相変わらずみんながチャレンジを避けていたら、今後は国自体がもちませんから、
とくに若い人は失敗に慣れることが急務だといえます。
それにはまず、「新しいことや不慣れなことをすれば、失敗するのは当たり前だ」と、開き直ることです。
それから、決して立ち止まらないこと。
失敗経験の少ない人は、えてして立ち止まり、「ああすればよかった」「こうすればよかった」と、
反省に時間を費やしてしまいます。
しかし、アウェーではそんなヒマはないのです。
重要なのは、いまの時点でのベストを尽くすことであり、それさえできれば反省は不要です。
もし、反省がしたいのなら、それは走りながらやること。
ミスを悪いものとする減点主義では、身動きが取れなくなってしまいます。
たとえば、日本人にとって英語学習というのはアウェー戦だといえます。
上達するには失敗を恐れず、外国人相手に下手な英語で話しかけ、
できるだけたくさん失敗をすればいいのです。
しかし、日本人のメンタリティでは失敗はいけないことですから、できるだけ失敗を避けようとする。
そうすると、どうしても実践を敬遠するようになります。
『アウェー脳を磨け!』廣済堂出版
茂木氏は、サッカーの「ホーム」と「アウェー」に例えて、
日本は今まで「ホーム」での戦いに慣れすぎてしまったという。
「ホーム」で戦えば、やりやすいし、勝率も当然高くなる。
しかし、現代は、ボーダレス化がすすみ、「アウェー」で戦うことが多くなってきた。
特に、自動車のような成熟産業は、海外への生産移転などをせざるをえず、
国内だけではやっていけなくなりつつある。
大手の企業が海外に出て行けば、中小の会社もそれについて海外へ出て行くしかない。
国内の製造業が徐々に少なくなっている所以(ゆえん)である。
アウェーでの戦いは、ホームでの戦いより、もっと多くのチャレンジをしなければ成果は得られない。
そのときに必要なのが、減点主義ではなく、加点主義。
成熟した社会になればなるほど、チャレンジすれば失敗する。
物がまったくなかった時代ならいざしらず、どこの業界にも、多くの競争相手がいるからだ。
これからの時代は、ミスや失敗を悪と決め付けてはいけない。
失敗を恐れれば、どうしても足が動かなくなり、実践からは遠のく。
日本の国を元気にするには、チャレンジ魂を奮い立たせるしかない。
いいところを見つけ、ほめるという、加点主義がますます必要となってくる。 |
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