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2011.1.9

一日十人のありがとう

石川洋氏の心に響く言葉より…

一日、どれだけありがとうと言う言葉を、私たち、口に出して言っているでしょうか。

あるご婦人の話です。
そのご婦人が小学校三年ぐらいのときだったと言います。
お父さんが、事情があって自殺をなすったそうです。

お母さんが自分に、諄々(じゅんじゅん)と説いてくれた。
人の噂は七十五日と言って、噂の消えるときもある。
けれども、これから長い人生の中で、あなたが学校に入るとき、
就職するとき、結婚するときには、必ず、「あの家は、お父さんが自殺をなすったからね」
そういうことがささやかれる。

「へ、そう。あの人、なんとなしに暗いと思ったら、やっぱりお父さん、自殺したの」と言う。

そしてそのことを知らなかった人までが、そのお父さんの自殺を知ることによって、
あなたの人生を駄目にする。
それだけは避けることはできないよとおっしゃったそうです。

「どうして生きたらいいの」とお母さんに聞いたら、

「それもね、乗り越えることはできる。それは一日、十人の人に、
真心を込めてありがとうというあいさつをすること。

一日十人の方にありがとうというあいさつをしたら、
一年間3650人の人に、素晴らしい行為ができることなんだよ」
そのことをお母さんは言い残してくださったそうです。

最初は半信半疑で言っていたけど、だんだんとありがとうという言葉を使い出すと、
一人一人のありがたさが見えてくる。

そのありがたさが見えてくると、ありがとうじゃなくて「寒いですね」とか
「お元気ですか」「夕べは眠れましたか」挨拶のボキャブラリーがどんどん増えてくる。
生きることの喜び、生き生きとした感情というものが出てくる。
それが出てくると、みんなの笑顔が見えてくる。

一日十人のありがとうが、自分の世界を作ったといいました。
今は、「明るく生きてるね」「立派なお母さんの教育だったね。すごいじゃないの」
「人間だれだっていろいろなことがあるからね。それを乗り越えるあの明るさは学びたいね」と、
人さまもおっしゃってくれるそうです。

そして、ふっとこの前、人の話を聞いたら、自殺なすった父に対して、
「お父さんはよっぽどつらいことがあったんだろうね」
お父さんの死んだことまでが、別な意味で評価されてている。

『やるなら決めよ 決めたら迷うな』勉誠出版

過去の事実は変えることはできない。
そして、それが生きていく上で大きな重荷となることもある。

しかし、そんな過去までも変えることができるという。
それが「ありがとう」を一日に十人の人に言うこと。

「和顔愛語(わがんあいご)」という言葉があるが、
笑顔をたたえた穏(おだ)やかで和(なご)やかな顔と、愛のある優しい思いやりのある言葉のことだ。
和顔愛語をマスターするには、「ありがとう」をたくさんの人にいい、人を喜ばせること。

「ありがとう」を言えば言うほど、ありがたいことが次々見えるようになる。
ありがたいこと、感謝することに、スポットライトが当るからだ。

「ありがとう」が習慣となれば、「愛語」も自然に身につく。
過去までも変えることのできる素敵な言葉「ありがとう」。

家庭でも、職場でも、コンビニでも、飲食店でも、一日十人に「ありがとう」を伝えたい。



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