2010.12.31 |
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ことごとく宜(よろ)し |
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行徳哲男師の心に響く言葉より…
物事を肯定して、変革・創造していくところからしか本物のエネルギーは生まれませんよ。
そのためには感性の力が欠かせない。
感性とは受容の哲学です。
江戸末期、九州の日田(ひた)に江戸時代の儒学者広瀬淡窓(ひろせたんそう)が作ったという
咸宜園(かんぎえん)という私塾がありました。
大村益次郎や高野長英が学んだことで知られています。
「咸宜(かんぎ)」というのは三千年近く前の中国の教えで、「ことごとくよろし」という意味です。
不況だっていいじゃないか、と徹底的な肯定の思想がベースにあるわけです。
だから、どんな人材でも来たらいいじゃないかというわけで、
咸宜園には、身分性別に関係なく誰でも入門できたといいます。
そのため全国から四千人もの人がやって来たそうです。
こういう包容力というか、おおらかさというか、磊落(らいらく)さというか、これが感性の力ですよ。
『いまこそ、感性は力』致知出版
小林正観さんは、この世には、「悲劇」や「不幸」があるわけでなく、現象は中立であるという。
つまり、「いいこと」も「悪いこと」もなく、あるのは解釈の違いだけ。
起きた事象を肯定的に考えれば、それが教訓や試練となり、
否定的にとらえれば、まわりのせいにしたり、批判や不平になる。
災難に逢っても、「この程度でよかった、ありがたい」と感謝する人もいれば、
「まったくツイていない、運が悪かった」と愚痴をいう人もいる。
どんなことにも感謝の気持で接する人は、起きた事柄すべてを、「ことごとく宜(よろ)し」と思う。
感謝の念を持ち、感性豊かな人は、すべての物事を、否定ではなく肯定的に考え、拒否ではなく受容する。
そして、おおらかで、悠々(ゆうゆう)としてこだわらない、人を包み込む力を持っている。
大晦日にあたり、今年一年に経験した「いいこと」も「悪いこと」も、
「ことごとく宜(よろ)し」と受け入れ、肯定の哲学で締めくくりたい。 |
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