2010.12.29 |
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森のイスキア |
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佐藤初女(はつめ)さんの心に響く言葉より…
初めて「森のイスキア」を訪れる人は、たいてい、緊張の面持ちで玄関に立たれます。
特に悩みを持つ若い人は、とにかくここまで来てみたという感じで、その先は何も考えられない様子です。
「森のイスキア」がどんなところなのか、何から話せばいいのか、
ここで何をしたらいいのか、わからないことばかりで緊張のかたまりといった感じです。
私は神さまがここまでお連れくださった方がくつろげるよう、自由にしていただいています。
すぐ話を始める人もいるし、「森のイスキア」の空気や風を味わうように庭を散策する人もいます。
お話を聞くときは、耳と心を澄ませ、相手のありのまま受け入れるようにしています。
お母さんの気持ちで、「条件なしに受け入れる」ということがいちばん大事だと思っているのです。
私のほうから、質問したり解決策を提案したりということはしていません。
そのようにして、相手の方と私、二人で共有するおだやかな時間が生まれます。
いろいろな人が訪れるので、ときにはスタッフが受け入れに躊躇(ちゅうちょ)する場合もあるようです。
でも、たとえその人が以前、よくないことをしたことがあっても、
「いま」正しく生きていれば、それでいいと私は思うのです。
「森のイスキア」は、行き場に迷う人が、とりあえず一息つける場所でありたいと思います。
だれでも自分を卑下したり負い目を感じることなく、ありのままを認めてもらえたら、
きっと気持ちが楽になり、そのあとはいい方向へ生きていけると思います。
『あなたに喜んでもらえるように』海竜社
佐藤初女さんは、1921年生まれの89歳。
青森県岩木山の麓(ふもと)で「森のイスキア」という、癒しの家を主宰している。
ここには、心を病んだ人、傷ついた人、問題を抱えた人、いろいろな人たちが訪れ、
初女さんが作るおにぎりや料理を食べ、話を聞いてもらい、そして自然に元気になって帰っていく。
「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第2番」に出演し、世に知られるようになった。
初女さんは、「迷ったときは急がない。とどまって休むことも必要」という。
現代人は、解決を急ぎすぎ、待つことができない。
人の話を、黙って聞き続けることがいかに難しいことか。
相手に、質問もしないし、提案や示唆もしない。
そして、条件なしに受け入れ、相手を認めること。
それだけで、人はパワーを回復し、元気になるという。
その行動の原点は「あなたに喜んでもらえるように」という気持ち。
人の喜びのために、人生をおくることができたら幸せだ。 |
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