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2010.12.27

どこがどう同じなのかを探す

行徳哲男師の心に響く言葉より…

感性というのは等質性を持つんですね。
質を等しくする世界ですから、違いは探さない。
ところが知性や理性というのは違いを探そうとします。
自分とあれとはどう違うかと。

例えば私たちのような年寄りが若者を見るときに、
違いばかりを探していたら「今どきの若い者は…」とぼやくしかないでしょう。

若者にしても「今どきの年寄りは…」となってしまう。
ここにはまったく融和がないんですよ。

幕末明治の日本がものすごく躍動していた時代のお年寄りたちは違いを探さなかったですね。
たとえば橋本佐内という若者を見出したのは越前藩主の松平春嶽(しゅんがく)です。
年の差をまったく感じずに、二十歳そこそこの若者を自分の参謀に用いています。

考えるという中にはある種の拒否が入っています。
ところが、感ずるというのはもともと受容する力ですからね。
「いらっしゃい」って受け入れる力ですから。
人類を救う哲理はもうこれしか残っていないと私は断言できますよ。

『いまこそ、感性は力』致知出版

「どこがどう違うかを探すより、どこがどう同じなのかを探せ」と行徳師は言う。
我々は往々にして、「違い」を探すことに汲々(きゅうきゅう)とし、「同じもの」を見つけようとしない。

明治維新も若者達の活躍ばかりが喧伝(けんでん)されるが、
実はその活動なり行動を大目に見たり、認めたりした年寄りたちがいたからこそ、それは成就した。

長州藩からは、吉田松陰を筆頭として、高杉晋作、桂小五郎、伊藤博文、久坂玄瑞、等々
小さな藩としては考えられないような、多くの人材が輩出したが、
それは、若者たちの政治活動に、藩が異様に寛容だったからだ、と言われている。

長州藩は、大激動期を生き残るため、人を外見、すなわち、年齢、家柄、身分等で判断するのではなく、
きらりと光る才だけで、選んだのだ。
そして、違いという欠点を探すのではなく、美点を見つめた。

他者との違いを探せば探すほど、共感する心や、感動や感性が失われる。
違いを探せば、それは否定につながる。

どこがどう同じなのかという、肯定の哲学を身につけたい。



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