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2010.12.2

なんとかなるかもしれない

医師の鎌田實(みのる)氏の心に響く言葉より…

日本では数少ないリハビリ専門のクリニックで働いている長谷川幹(みき)。
自転車をこいで訪問リハビリに行く姿は、地域の人に広く知られている。
「なんとかなるかもしれない」が口グセ。
決して、熱血医師ではない。
いつも淡々としていて、もの静かだ。

ある美容師が、脳梗塞を起こし、右手まひになった。
右手ははさみを持つ利き手。
美容師としては致命的だ。

しかし、なんとか仕事に復帰したいと思った。
最初、彼女は大きな病院で治療を受けていた。
リハビリも行ったが、「もうゴールです」と医師に言われた。
リハビリを続けても、これ以上はよくならないということを意味する。

その病院のリハビリ医と違って、長谷川ドクターは「ゴール」という言葉を使わなかった。
「なんとかなるかもしれない」
わらにもすがる想いでやって来た彼女に、ひと言、そう告げた。
夢は必ずかなう、なんてことも言わない代わりに、否定もしなかった。

「なんとかなる」なんて、いいかげんと言えば、いいかげんである。
でも、これがいいんだなあ。
長谷川は、口からでまかせを言っているわけではない。
患者に希望をもたせるために、意識的に夢を語っているのでもない。
彼のなかに人間の力を信じる、深い楽観主義があるような気がする。

そして、奇跡が起きた。
四年間のリハビリを経て、彼女は顧客とその紹介者を相手に、美容師の仕事を再開したのである。
「時間がかかってもいいから、あなたにやってほしい」と言ってくれるお客さんに支えられ、
カットやパーマのスピードが少しずつ早くなっている。

ぼくたち医師がどんなに熱心に健康指導しても、
患者さん本人が自分の生活を変えていこうと決意して動かなければ、何も始まらない。
行動変容を起こすことができなければ、治療やリハビリは成功しないのである。
もしかしたら、彼の力の抜けた楽観主義が、
患者に行動変容を起こさせやすくしているのではないか。

病気や事故で障害を背負った人たちが、自分の障害を受容するまでには時間がかかる。

それまで、患者は何十回も同じ質問をしてくる。
「そのとき、医師は何十回でも同じように、ていねいに答えることが大事なんだ。
『前にも話したでしょう』なんて声を荒げたりしてはいけない。
ぼくはリハビリに携わる医師として、その訓練をしてきた」
そう長谷川は言う。

『人は一瞬で変われる』集英社

もし、人に「あなたは、もはやここまでです」と、そこが終着点と決め付けられたらどうだろう。
それが、先生や医者という、権威のある人に言われたならなおさら、
重石のように自分の心にのしかかる。
たいていの人は、そこで夢をあきらめるか、投げやりになる。

今の世は、「夢を思い描けば必ず実現する」、「強く思えば叶う」と、プラスのパワー全開の風潮だ。
もちろん、それは悪いことではないし、むしろ大いに必要なことだ。

しかし、病気の人は、そうはいかない。
その超ポジティブ思考が、かえってプレッシャーとなり、苦しみに変わることもある。
「そうあらねばならぬ」、「なぜ、自分はできないのか」と自分を追い込んでしまうからだ。

どんな人にも、潜在的に秘めた力や能力がある、と信じている人は真の楽観主義者だ。
そして、その人が自ら気付き、自分で行動するようになるまで、
やさしいまなざしで、ゆっくりと見守ることができる。

「なんとかなるかもしれない」という言葉には、
楽観主義に裏打ちされた、人への限りない愛情がある。



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