2010.11.13 |
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偉い人に頭を下げられると嬉しい |
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精神科医の和田秀樹氏の心に響く言葉より…
「衣食足りて礼節を知る」ということわざがあるけれども、
金持ちになると性格がよくなる人と、性格が悪くなる人の二種類がいる。
少し裕福になったり、地位が上がったりすると威張ってしまうケースは決して少なくない。
サラリーマンでも少し出世すると急に居丈高(いたけだか)になる人もいる。
こうなると、遠からずツキが落ちてしまう。
逆に、金持ちになったり社会的地位が上がっても、偉ぶらず、
さらに謙虚になる人がごく稀(まれ)にいる。
金持ちになってさらに頭を下げるタイプで、こちらは「ツキの好循環」が続くのだ。
近年で典型的な例は、故・小渕恵三首相だろう。
就任したばかりの頃は、大変な不人気総理だった。
言葉は悪いが、バカにされていたといっても過言ではない。
「冷たいピザ」「ボキャ貧」「真空総理」などと野党やマスコミからさんざん揶揄(やゆ)された。
だが、次第に不思議なくらい人気が出た。
その理由のひとつが「ブッチホン」だった。
突然、総理本人から電話がかかってくるのである。
それも、ちょっとした意見をメールした市井(しせい)の人にまで、
こまめに電話してお礼を述べたのである。
総理大臣から電話がかかってきて、お礼を言われたら、誰だって感激するはずだ。
今太閤(いまたいこう)と呼ばれた故・田中角栄氏は、
田んぼの中に革靴で入っていって、泥だらけになりながら、農作業をしている人たちと握手した。
誰もが「おらが村の総理大臣が、どろんこになって握手してくれた」と、
感極まって強力な支持者になった。
偉い人に頭を下げられると嬉しい…人間はきわめて単純にできている。
この真理を理解していると、裕福になったり、地位が高くなったときに、ツキの好循環を続ける。
実際、偉くなればなるほど、頭を下げる価値は上がる。
頭を下げることで偉い人はより賢くなり、さらに偉くなる。
ここにもプラス方向の循環が起きる。
なぜなら、地位が上がれば上がるほど、良質の情報を得やすくなるからである。
社長が部下にものを尋ねれば、懇切丁寧なレクチャーを受けることができるのだ。
威張って頭を下げなくなる人は、わからないことを誰かに尋ねようとしないし、
やがて聞き心地のいいことだけしか受け入れなくなってしまう。
『お金とツキを呼ぶちょっとした「習慣術」』祥伝社黄金文庫
上手くいかなかったとき、我々はよくその原因を探り、分析する。
しかし、運のいい人、ツイている人は、うまくいったときの分析をする。
そして、そのエキスを取り出し、同様に、実践、実行するので、ツキや運がいつまでも続く。
つまり、成功事例を踏襲(とうしゅう)するからだ。
その成功の要因を分析をして、出てきた答えの一つが、どんなに偉くなっても、腰を低くすること。
しかし、腰を低くすることは意外に難しい。
なぜなら誰もが、人から認めてもらいたいし、尊敬を受けたいし、
時に威張りたい、という願いを常に持っているからだ。
ちょっと成功したり、出世したり、或いは年齢を重ねてくると、その傾向は顕著(けんちょ)になる。
よほどの聖人君主でないかぎり、腰を低くし続けることは至難のわざ。
しかし、ツキのある人は、その価値を知っている。
「偉い人に頭を下げられると嬉しい」、「頭を下げることで、情報が入ってくる」、からだ。
ツキの好循環を維持するため、常に腰の低い人でありたい。 |
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