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2010.11.8

仕事を長く続けるには

野球の野村克也氏の心に響く言葉より…


僕は子供の頃、もう半端じゃない貧乏な生活を送ったわけですよ。
日本中が貧しかったけれども、その中でもうちは特に貧しくてね。
三歳で父が死に、母も子宮がんと直腸がんで二回も倒れた。

体が弱いのに、僕らを育てるため夜なべしながら働いてねぇ。
苦労して苦労して働いている姿をみてきましたから、
絶対に金持ちになって、この母親を楽にしたい。
そう思って野球選手になろうと決意しました。

今のプロ野球選手を見ていると、大体が子供の頃から「プロ野球選手になりたい」と夢を持っている。
だから、プロになった途端に達成感に浸っちゃう。
実は、プロになった時点がスタート地点で、一軍で活躍するにはどうしたらいいかと真剣に考えた。

いまの人たちは自分がやりたくて野球をやっているだけなんです。
だから、ちょっとしたことで、「俺はこんなものだ」「これぐらいの成績で十分だ」と、
自分で限定・妥協・満足する。

『月刊 致知』2010年12月号「持続心こそ、運命をひらく鍵である」より


現代人の多くは、想像を絶する貧乏の経験は少ない。
もちろん、いまでも恵まれない人はいるが、
戦前や戦後の国民全体が貧しかった時代とは比べようがないくらい、今の時代は豊かだ。

だから、現代人の職業の選択基準は、「自分がやりたいこと」であり、「好きなこと」。
しかし、ほんのちょっと前までは、大方の日本人は、両親や家族を楽にするために仕事を選んだ。

自分の楽しみや、自分がやりたくてやる仕事は動機がいかにも薄い。
好きな仕事に就(つ)けた、という達成感で満足し、その先がないからだ。

また、自分が好きだからとの理由ではじめた仕事は、好きでなくなったらやめてしまう。
つまり、何かトラブルや、ちょっとした困難があると、耐えられない。

自分のためだけにすることは、趣味の領域。
仕事は、「誰かを喜ばせる」という強くて深い想いがあるからこそ、長く続けることができる。



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