2010.11.7 |
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努力を押し付ける人 |
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曽野綾子氏の心に響く言葉より…
努力家という人は、ほんとうは困った存在だと思う。
怠け者を自覚している人は、
自分にも他人にも会社にも社会にも負い目があるから、けっしていばらない。
その結果、自分の本質と評判がかなり一致する。
しかし努力家は、自分は正当なことを、立派なことをしていると思い込んでいるから、
他人も自分と同じようにすること、他人が自分に感謝と賞賛を送ることを、
必ず心の中で要求している。
(自分の顔、相手の顔)より
『「いい人」をやめると楽になる』祥伝社黄金文庫
努力が悪いと言っているのではない、人間にとって努力は必要に決まっている。
しかし、自分のしてきた「努力」という価値観を、人に押し付けることがいけないのだ。
自分の信じている価値観が強ければ強いほど、人にそれを伝えたくなる。
それは、宗教であったり、哲学や、政治、理論、習慣、あるいは健康法であったりする。
価値観は人によって様々だ。
富士山に登る方法はいくつもあるように、「努力」にもいろいろなやり方がある。
どんな努力をしている人だって、世の中にはもっと努力している人はいる。
上には上がいるものだ。
そんなことも分からずに、自分の浅はかな価値観を人に押し付けるのは恥(は)ずかしい。
自分は、まだ努力が足りない、怠け者である、と自覚したとき、人にも優しくなり、謙虚になる。
「人に要求しない」「自分のしてきた努力はすっかり忘れている」そんな人に、人は魅力を感じる。 |
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