2010.10.19 |
|
後生(こうせい)おそるべし |
|
谷沢永一氏の心に響く言葉より…
人間の外側にあるものについては、研究がどんどん積み重ねられ、
ついには人類が月に到達するというほどの発展がありました。
ところが、人間の内部についての探求がいったいどれだけ進んだのかといったら、
精神あるいは道徳的に進化するということはほとんどないと言っていいでしょう。
人間が変わらないということでは、柳田国男がこんなことを言っています。
『エジプトの古跡発掘において、中期王朝の一書記の手録が出てきた。
ざっと四千年前とかのものである。
その一節を訳してみると、こんな意味のことが書いてあった。
「いわく、この頃の若い者は才智にまかせて、軽佻(けいちょう)の風を悦(よろこ)び、
古人の質実剛健なる流儀をないがしろにするのは嘆(なげ)かわしいことだ」(木綿以前の事)』
今の若者は、という台詞は現在でもしょっちゅう使われていますね。
古代エジプト文明ですから四千年来ということになりますが、
年寄りは若者について同じ台詞を言ってきたわけです。
自分よりも若い世代の能力、仕事というものを冷たく見るようになり、
認めたくなくなったとき、「自分は老いぼれになった」と思うべきです。
われわれは『論語』にある「後生(こうせい)おそるべし」ということを忘れてはなりません。
年取った人間には考え方の枠があり、その枠の外で若者は能力を発揮するのです。
年寄りがわからないのが当たり前、逆に年寄りが理解できる範囲内に若者がいるようでは困る。
「後生おそるるに足りず」では困るのです。
『人生を楽しむコツ』PHP研究所
「後生(こうせい)おそるべし」とは、論語の言葉だ。
後生とは、後から生まれてきた者、後輩と言う意味だが、
後生の者は、気力も元気もあるので、将来への可能性がある。
だから、勉学に励んだら、どのような優れた人物に成長するかわからないので、
あなどってはいけない。
古代エジプトでも、「近頃の若い者はチャラチャラして駄目だ」と、
老人が若いものに対して言っていた。
これは世に知られた有名な言葉だが、四千年たった今でも同じことが言われている。
科学やITの変化は、それこそドッグイヤーといわれるくらい、進歩が早い。
しかし、それに比べ、心の研究や探求は進んでいない。
昔に比べ、ウツや引きこもりといった心の病はかえって増加し、自殺者も驚くほどの数だ。
釈迦やキリスト、マホメット、孔子という、世界の四大聖人に匹敵する聖人も、
ここ何千年か出現していない。
権威や、肩書が身についてくればくるほど、新しいものや、変化を受け入れなくなってしまう。
「近頃の若い者は…」と一瞬でも思ったら、それは「自分は老いぼれた」と思うこと。
「後生(こうせい)おそるべし」
いくつになっても新しい風に触(ふ)れ、変化を楽しむ人生でありたい。 |
|
|