2010.9.15 |
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どうせ言うなら積極的なことを |
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中村天風師の心に響く言葉より…
カリアッパ先生が、ある朝こういうことを言われた。
「毎朝、朝の挨拶のあと、おれはお前に、
きょうはどうだい(ハウ・ドゥ・ユウ・ドゥ・ツゥデイ)と聞くと、
必ずお前は、アイム・ノット・クワイト・ウエル(あまり良くありません)と言うな。
それを言うとき楽しいかい?」
「いや、楽しくはありませんけども、真実こういう病をもっておりますから、
朝目がさめましても心よい気持ちでは目がさめません。
やっぱり何となく、こう、熱があるように、体の全体が何となくけだるくて、
頭は重いし、つまり快適な気分を感じません」
「そういうことを言って気持ちがいいかい?」
「気持ちはよくありませんけれども、真実そうでありますから」
「本当に具合の悪いときに悪いと言っちゃいけないんですか?」
「具合の悪いときに具合が悪いと言ったら治るか」
「いや、なおりゃしませんけども、やっぱり痛いとき、痛いと言います」
「痛いときに痛いというのがいけないというんじゃないんだ。
痛いとき、痛い、かゆいとき、かゆいと言うのは、それは当たり前のことだから言っていい。
ただ、そう言ったときに、それから後を自分がかんがえなきゃいい」
「その意味はどういう意味ですか?」
「お前は、きょうはどうも頭が痛いとか、きょうは熱がありますとか言ってる言葉の後に、
たとえ言葉に出なくても心のなかで思うだろう。
あーあ愉快だと思わない。実に不愉快で何ともいえないいやな気持ちだ、と。
まして、普段よりよくない状態が体に現れてくりゃ、これがもとで死にゃしないかとか、
もっと悪くなるじゃないかしらんというふうに、
現実よりもさらに上を越した神経を使いやしないか。
それがいけないんだ。」
『成功の実現』日本経営合理化協会出版局
中村天風師は、こう言う。
暑いの寒いのは感覚だから言っていいよ。
でも、どうせいうなら後にもっと積極的なことを言ったらいいじゃない。
「暑いなあ、よけい元気がでるな」
これは、何にでも応用できる。
熱が出たときに、「熱っぽいなあ、でも気分はいいぞ」
業績が悪化したとき、「売り上が落ちてきた、だけど必ずよくなる!」
状況や状態は言ってもいいが、後に続けて、否定的なことを言ってはいけない。
「参った」、「困った」、「嫌だな」、「どうしよう」、「心配だ」、
は自分の嫌な気分や、気持ちを表した言葉だ。
どんなに困難なことが起きても、気持ちまで参ったり、困ってしまってはいけない。
「参った」、「困った」と何回言っても、事態は少しもよくはならない。
会話の最後は、肯定的で、明るく、愉快な言葉で締めくくりたい。 |
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