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2010.9.4

次々とアイデアを繰り出す

渡部昇一氏の心に響く言葉より…

発想という言葉を聞くと、私は英語の「リソースフル」という言葉を思い出す。
リソースは元来ラテン語からきた言葉で、
語源的には「再び跳ね上がる」「再び立ち上がる」「再び湧き上がる」といった意味がある。

そのことから言えば、倒れても立ち上がる人、

すなわちひとつのアイデアがダメでも次から次とアイデアを枯れることなく出し続けることが、
リソースフルといえるのである。

日本では、ひとつの戦術が成功すると最後までその方法を使う人が多い。
続くアイデアがない、弾力性がないのである。

日露戦争で活躍した秋山真之(さねゆき)提督などは、
その逆で、次から次へと新しい戦術を考えた人で、
彼の墓碑銘に東郷元帥が「智謀(ちぼう)湧(わ)クガ如(ごと)シ」
と書いているくらいの人だった。

松下幸之助氏は、ひとつの発明品の売れ行きが止まらないうちに、
必ず次のアイデア商品を出している。
次から次へと商品を工夫していくうちに、いろいろな分野に進出していった。
そのプロセスでは、一業に成功した人と何度も提携している。
松下電器に吸収された多くの中小企業は、ひとつの発明で安心してしまい、
それだけにしがみついていたように思える。

ひとつのアイデアをものにすることも重要だが、それが売れている間に、
すぐ次のものを開発するだけの気力や余裕を持つことが大切だということだろう。

『私の自己啓発法』講談社

相手があきれるくらい次々と新しいアイデアを繰り出す人は、出し惜しみしない人だ。

逆に、あまりアイデアがない人は、もったいぶって、教えなかったり、それを高く売ろうとする。
自分の持っている知識や、情報、アイデアを気軽に出さない人は、ケチ臭い。

たとえマネされたとしても、
次にもっと素晴らしいアイデアで勝負するくらいのおおらかな人の方が成功する。

禅的に言うなら、「出すから入る」。
「出入り口」という言葉はあるが、「入り出口」というのはない。
禅の呼吸は、まずは吐(は)くことが大事だ。
息を吐けば、空気は自然に入ってくる。

アイデアも出せば、別のアイデアが湧いてくる。

再び立ち上がる人、倒れても立ち上がる人、に我々は魅了される。
何度失敗しても愚痴を言わず、新しい戦術やアイデアを出し続ける人は魅力的だ。

松下翁のように、成功するまで決してあきらめない人、

次々とアイデアを繰り出す、智謀(ちぼう)の人でありたい。



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