2010.8.12 |
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ガリレオの望遠鏡 |
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科学作家の竹内薫(かおる)氏の心に響く言葉より…
ガリレオ・ガリレイは、地動説を唱(とな)えて裁判にかけられ、有罪になったが、
「天文学の父」とも呼ばれ、ピサの斜塔(しゃとう)の実験でも有名な人です。
そのガリレオは、望遠鏡をもっとも早くからとりいれたひとりでした。
1608年、オランダで望遠鏡が発明されます。
ガリレオはその噂(うわさ)を聞きつけ、
さっそく試行錯誤のうえに自作の望遠鏡を作り、天体観測を行いました。
倍率は三十三倍。
1610年の四月のこと。ガリレオは、イタリアのボローニャに二十四人もの大学教授を集めて、
自作の望遠鏡を披露(ひろう)しました。
ガリレオは、まず彼らに望遠鏡で地上の様子をみてもらいました。
すると、どうでしょう。
望遠鏡を覗(のぞ)きこむと、山や森や建築物など、
はるか遠くにあるものがドーンと目の前に映しだされます。
「これはすごい!」と教授たちはその迫力に驚き、ガリレオを賞賛(しょうさん)しました。
当時、イタリアではだれもまだ望遠鏡をみたことがなかったのです。
つぎに、ガリレオは教授たちに望遠鏡で天体をみせたのです。
すると、どうでしょう。
それまではボンヤリとした光る点にすぎなかった夜空の星々が拡大され、
月のクレーターまでもがはっきりとみえたのです。
教授たちはまたしても驚きました。
そうして、口々にこういったのです。
「こんなのはデタラメだ!」
教授たちのなかには、当代きっての天文学者ケプラーの弟子、ホーキーもいました。
彼はつぎのように語っています。
「それ(望遠鏡)は下界においては見事に働くが、天上にあってはわれわれを欺(あざむ)く」
当時、天上界というのは完全な法則に支配された完璧な世界だと思われていました。
つまり、神が棲(す)む世界です。
そこでは、すべてのものが規則的に動き、美しく、統一ある姿をしています。
ですから、月に凸凹(クレーター)などあるはずがないんです。
星の表面は、キレイにのっぺらぼうじゃないといけなかったわけです。
『99.9%は仮説』光文社新書
人は、実際に自分の目で見ていても、それをなかなか信じないことがある。
常識として、かなり頑固(がんこ)に、信じ込んでいる事柄だ。
しかし事実、直近でも様々な定説や常識があっという間にくつがえった。
例えば、絶対に下がらないと言われていた、土地が下がり続けている。
例えば、絶対に倒産しないと言われていた、銀行や、証券会社が潰(つぶ)れてしまった。
ほんの10数年前の常識でも、くつがえるのだ。
竹内氏は、
「くつがえるということは、それは定説ではなく仮説だったということであり、
科学的に検証されていると思っていることも、頭の中の常識も、すべて仮説に過ぎない」と言う。
すなわち、99.9%は仮説。
この世で、絶対ということはない。
すべてが仮説であり、くつがえせるということ。
ならば、どんな難問であろが、不運であろうが、不幸であろうが、ひっくり返すことはできる。
「絶対に決まっている」、と諦(あきら)めてしまったことがあったら、
もう一度頭を柔らかくして考え直す必要がある。
99.9%は仮説なのだから。 |
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