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2010.8.4

自らを実況中継する

メンタル・トレーナーの岡本正善氏の心に響く言葉より…

真剣に悩み、必死で努力しているのに、泣かず飛ばずで、大した成果が出ないことがある。
落ち込んだり、ドツボにはまってしまい、考えすぎて動けなくなったときや、
一つのことしか見えなくなって余裕を失ったときなど、たまには自分を笑ってみるのも手です。

笑うことによって問題の渦中から抜け出し、客観的な距離が取れるからです。
ただアハハと笑ってもむなしいので、アナウンサーになって実況中継します。

「悩んでおります。ドツボにはまっております。おおっ、ようやく次の動きに出るのでしょうか。
いやいや、引き返してまた頭をかかえております。」

「これはもう、とことん悩みぬくしかないようです。
飯抜きで悩むようです。これは飯代の節約になります」

「焦っております、焦っております。時計を見てはイライラしております」

「今回は相当キテます。ああっ、机に足をぶつけました。
かなり腹立たしい痛みを味わっている様子であります」

不思議と気持の切換えができ、自分のリズムを取り戻すことができます。

『「打たれ強さ」の秘密』青春出版社より、抜粋転載

パニックになったり、怒り心頭に発したときは、少し冷静になれ、と言う。
しかし、渦中のさなかには、「言うは易(やす)く、行うは難(かた)し」でなかなかむずかしい。

自分の行動を実況中継するのは、客観視し、冷静になるための一つの手段だ。
むしろ、実況中継できるくらいなら、もう冷静になっているとも言える。
ただし、中継はあくまでも自分のことだけで、人の中継をしたら問題になる。

禅の公案集である、『無門関(むもんかん)』の中に、「主人公」というのがある。
瑞巌(ずいがん)和尚は、毎日自分自身に「主人公」と呼びかけ、それに対して「ハイ」と答えた。
「だまされるなよ」と言っては「ハイ」。
「目をさませよ」と言って、「ハイ」、と自問自答していたそうだ。

「格好つけてないか」、「舞い上がっていないか」、
と自分に問いかけることは客観性を養う大事な訓練だ。

悩みが深ければ深いほど、ドツボにはまりやすい。
しかし、どんなむずかしい問題でも、見方や考え方を変えると意外に簡単に解決することは多い。

そのための大事な方法が自分を客体化、すなわち他人の視点でみるやり方。
自らを実況中継するのは、問題解決の有力な方法だ。



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