2010.7.28 |
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戦略とは捨てることなり |
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内田和成氏の心に響く言葉より…
神戸大学の加護野忠男先生によれば、野球で、次に打席に立つバッターに
「今日のピッチャーは直球が走っているぞ、それにカーブもよく曲がるし、
シュートも切れている。だから気をつけろ」
とアドバイスする監督がいるが、
そんなものはバッターとしては言われても困るだけで何の役にも立たないという。
要するにアクションプランに繋(つな)がらないからだ。
このようにものをしっかり考えていないために、あれもこれもと並列に言い立てる、
自然体の監督のことを並列列挙型と呼ぶそうだ。
これに対して戦略型の監督は、たとえば
「直球は走っているから捨てて、変化球を狙って行け」
というような具体的なアドバイス、
すなわち無駄にするものあるいは捨てるものを教えてくれるのが役に立つと言っている。
納得のいく話である。
同じような話であるが、島田隆さんから教わった言葉に「戦略とは捨てることなり」という話がある。
経営者にとって捨てる意思決定というのは難しい。
というのも経営者ともなるとその事業や商品に対する思い入れが生じる、
あるいはそれに従事する人の顔が浮かんでなかなかやめる決断ができないものだ。
『スパークする思考』角川oneテーマ21より抜粋転載
並列列挙とは、事実をいくつか並べて述べることだが、ただの説明や解説のようなものだ。
商品力向上、利益アップ、価格競争力、サービス向上、売り上増大、原価率向上、
経費削減、とやりたいことすべてを列挙してやろうとしても、
結局は言うだけで、普通は一つもできない。
今年は、どんなことがあっても、
「サービスで地域一番になろう。とにかくこれだけ!」という戦略を立てれば、
その戦略は行動に結びつき、成就しやすくなる。
「一点突破、全面展開」という孫子の言葉がある。
一点を突き破れば、そこから世界が広がり、勝利に導かれる。
つまり、一点以外の他のすべてを捨て、その一事に集中する。
弱者であればあるほど、一点に集中しなければ、力が分散してしまい、強者には勝てない。
何かをやるのではなく、何かを捨てる決断。
ことを成し遂げようとしたら、「何をやらない」という、「捨てること」が大事だ。 |
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