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2010.7.15

根拠のない自信

天才クリエイター、秋元康(やすし)氏の心に響く言葉より…

「企画脳」のための基礎体力をつけるためには、ジャンケンが強くなくてはいけない。

ジャンケンには、そもそも必勝法は存在しない。
ジャンケンは誰にでもチャンスのある勝負なのだ。
必勝法がないにもかかわらず、「自分はジャンケンに弱い」と尻込みするような人間は、
発想・企画力で他人に勝つことはできない。
勝負の前に、すでに負けている。

僕の仕事は、正解のない仕事である。
みんな似たような能力があって、人間なんてあまり変わらないなかで、
どうやって人より前に出て企画を売りこんでいくか。
どうやってコンペを勝ちすすんでいくか。

そのときに必要とされるのが、オレはジャンケンが強いという「根拠のない自信」なのだ。
「負けるはずがない」と言いきってしまえる自信。
必勝法がないのだから、あとは「気迫」と「運」と「勢い」だけである。

負けて当たり前、できなくて当たり前、やれなくて当たり前というふうに生きていると、
どんどんマイナス思考になっていく。

「オレはジャンケンに強い」と自分に言いきかせてみるのもいい。
相手に向かって「オレって不思議に勝つんだよ」とプレッシャーをかけてみるのもいいだろう。

そうすれば、万が一ジャンケンに負けたとしても、負けたことが不思議に思えるし、
「どうして負けたのか」という反省ができるようになる。
負けるとか、失敗するとかいうことが不思議に思えなければいけないのだ。

そう思いこまないと売れる企画、勝てる企画はつくれない。
そこから、すべてがはじまるのである。

『企画脳』PHP文庫より抜粋転載

秋元氏は「おニャン子クラブ」、「とんねるず」、「川の流れのように」、「AKB48」など、
関わる仕事でヒットを出し続け、20年以上、トップを走り続ける天才クリエイターだ。
その秋元氏が、誰もが似たような能力を持っていて、人間はあまり変わらないという。

ならば、そのヒットを出し続ける「勝負強さ」はどこからくるのか…
それを、秋元氏は「根拠のない自信」だという。

居酒屋甲子園の大嶋啓介氏の講演会では、「本気のじゃんけん」というのをやる。
隣に座っている人と、とにかく気合を入れ、絶対に負けないぞという気持ちで、本気でじゃけんをする。

そして、勝ったほうは大声で、「よっしゃ!勝った〜!」と言い、
負けた方は「よっしゃ!負けた〜!」という。
どっちが勝ってもいいし、負けてもいいが、これでテンションがあがり、
講演会の会場の雰囲気は一気に盛り上がる。

自分が負けるはずがない、と「根拠のない自信」を持ったとき、人は不思議なオーラを発する。
すると、あの人は、何か他の人と違ったすごい発想のある人だ、
抜群(ばつぐん)の企画力を持った人だ、と思ってしまう。

ほんとうは、人の能力にはそんなに大きな差はない。
しかし、結果として大きな差が出てしまうのは、「根拠のない自信」がそうさせている。

勝ちぐせのついている人は勝ち続ける。
負けぐせのついている人は負け続ける。

ジャンケンと同じように、人生にも必勝法はない。

「オレは運がある」
「ワタシはどんなになっても最後はうまく行く」
「負けるはずがない」
とおまじないのようにくり返す。

人生のここぞというとき、「根拠のない自信」は必要だ。



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