2010.7.5 |
|
自己コントロール力 |
|
経営心理学の松本順氏の心に響く言葉より…
日野資朝(ひの すけとも)は、北条政権を憎んで、
北条政権の打倒計画を画策した公卿(くげ)だが、
資朝は美濃源氏の土岐頼貞、多治見国見の二人の武将を一味にしていいかどうか、
この二人の人物を見抜くために、無礼講の酒席の宴をはり、
二人の行動をつぶさに観察したといわれている。
酒を飲むと、とかく自制心を失い、
あるいは女の色香(いろか)に迷うとそれに溺(おぼ)れて自己コントロールを忘れてしまう。
無礼講だとつい気を許してなんでも喋ってしまい、
上下の見さかいがつかなくなってしまう人間が少なくない。
これをよく観察しておれば、その人間の本音がよくわかるとともに、
自己コントロール力が弱くて、あまりあてにならない人物であるということがわかる。
人間の値打ちというものは、この自己コントロール力がどのていど強いかによって決まってくる。
いくら良い心の体制をつくり上げてみても、自己コントロール力が弱いと、
ちょっとした刺激やショックで、良い心の体制が崩れて、
悪い心の体制にとってかわられてしまうからである。
『人を見抜く』PHP文庫
酒の席においては、性格が一変する人がある。
普段、大人(おとな)しい男が、まわりの人にからんだり、やたら大きなことを言ったりする。
そういう人は、もともは不平や不満があり、大きなことをいいたい性格を持っている。
普段、酒を飲まないときは、不満や欲望を抑えているが、酒を飲むと一変し、本音が出る。
酒の席に限らず、普段は腰の低くて、やたら気を使う人が、
飲食店で店員に横柄な口をきいたり、店員を怒ったりする人がいる。
自分より下と思われる人に対して、本音が出てしまうのだ。
人は、気がゆるんだり、緊張感がなくなると、建前(たてまえ)でなく、本音が出やすい。
これらは、すべて自己コントロール力が弱いから起こる。
酒の席でも、飲食店でも、どこでも、我々はたえず誰かに見られている。
よしんば、その時見られていなかったとしても、心に隙(すき)がある人は、
その行動が積み重なり、どこかで本音や弱さを露呈(ろてい)する。
酒を飲んだら、ますます明るくなり笑いがたえない人。
お金を払っている客なのに、店の人に気を使い、逆に店の人を喜ばせるような人。
気がゆるんだときほど、さらに魅力が増すような人でありたい。 |
|
|