2010.6.12 |
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運を天に任せる |
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元経済官僚で、評論家の八幡和郎(やわたかずお)氏の心に響く言葉より…
任天堂は京都の老舗だが、家訓どころか、
社是も社訓も持たない珍しい会社である。
ただ、社名の由来を、会社の理念らしきものとしている。
「一寸先は闇。運を天に任せて、与えられた仕事に全力で取り組む」
まずは全力で取り組むことに意味がある。
運がついてこなければ、それも運なのである。
山内は新製品を出すための市場調査には否定的だ。
商品が売れるかどうかの判断は社長にもできない。
しかし、面白い商品をつくりさえすれば、
市場調査をする必要はないというのが、山内の持論である。
「ヒットのノウハウなんてわかれば苦労しない。
どうやったら儲かるかというのと同じで、答えなんてない」と言っている。
人間はなるようにしかならず、
運は人智のあずかり知らぬことだと、割り切っているのかもしれない。
『大商人の金言』知的生きたか文庫
任天堂は、もともとは花札などの製造販売をする玩具会社だった。
戦後すぐに二代目社長が亡くなり、孫の山内が三代目社長に就いた。
22歳のときだ。
この若い社長に対して、「若造に従えるか」と、
100人余りの社員がストライキを起こしている。
ベビーカー、インスタントラーメン、ふりかけの事業を手がけたり、
タクシー会社やホテルの経営などをしたりして多角化経営を始めたのだが、
ことごとく失敗して1970年代に入り、元の玩具会社に戻った。
1983年、ファミリーコンピューターの大ヒットで、
世界的な娯楽企業としての地位を得て今日に至っている。
(同書より)
今は、超優良会社として隆盛の任天堂も、かつては厳しい時代があった。
インスタントラーメンやら、ふりかけまで手がけ、
しかも、ことごとく失敗してきたとは想像すらつかない。
何事もやってみなければわかない。
いくら綿密に市場調査しても、新製品がヒットするとは限らないのと同じだ。
誰しも、新しい事業なり、新商品を出すとき、最初から失敗すると思って始める人はいない。
成功すると思っているから始められるのだ。
何かに挑戦する人は、ある意味での楽天主義者だ。
失敗しても、次は何とかなるのではないか、と思うからまた挑戦できる。
今の仕事に全力を尽くし、あとは運を天に任せる。
すっきりと澄み切った青空のような心境。
人間はなるようにしかならない、と割り切ったとき、そこに運が生まれる。 |
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