2010.6.6 |
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くじけないで |
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柴田トヨさんの心に響く言葉より…
【先生に】
私をおばあちゃんと呼ばないで
「今日は何曜日?」
「9+9は幾つ?」
そんな バカな質問もしないでほしい
「柴田さん
西条八十の詩は好きですか?
小泉内閣をどう思います?」
こんな質問ならうれしいわ
【化粧】
倅が小学生の時、お前の母ちゃんきれいだなって
友だちに言われたとうれしそうに言ったことがあった
それから丹念に九十七の今もおつくりをしている
誰かにほめられたくて
【思い出 T】
子どもが授かったことを告げた時、あなたは
「ほんとうか 嬉しい
俺はこれから真面目になって働くからな」
そう 答えてくれた
肩を並べて桜並木の下を帰ったあの日
私の 一番幸福だった日
【思い出 U】
子どもと手をつないであなたの帰りを待った駅
大勢の人の中からあなたを見つけて手を振った
三人で戻る小道に金木犀(きんもくせい)の甘いかおり
何処かの家から流れるラジオの歌
あの駅あの小道は今でも元気でいるかしら
『くじけないで』飛鳥新社より
『一人暮らしで、ヘルパーさんが週六日、
64歳になる息子さんが週一日きてくれる。
しかし、ヘルパーさんや、息子さんが帰る時には、
さびしくて、悲しくて、気分が塞(ふさ)ぎ、無口になってしまう。
でも、そのたびに歯をくいしばり、
自分を叱咤激励して、自身に言い聞かせる。
「くじけるな。頑張れ、頑張れ」と。』
(あとがきより)
柴田トヨさんは、90歳を過ぎてから詩と出合ったという。
もうすぐ百歳になろうとしている、
トヨさんの詩は、読むうちに涙がにじんで仕方なくなる。
人は誰もが歳をとる。
そして、いつかは一人になる。
そんな時、支えてくれる人や、友人、家族、
そして、詩や歌や、本がある人は幸せだ。
百歳近くなっても、毎朝ちゃんと、お化粧をするトヨさん。
子どものような質問をしないで、というトヨさん。
さびしくても、歯をくいしばって生きてるトヨさん。
読むうちに、
今の自分の悩みのなんとちっぽけなことか、
情けないことか、と気付かされる。
もう一度頑張ろう、やってみよう、と元気付けられる。
どんなことがあっても…
「くじけないで」と、自分に言い聞かせたい。 |
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