2010.6.2 |
|
真実は超細部に宿っている |
|
ビジネスコンサルタントの山崎将志(まさし)氏の心に響く言葉より…
マクドナルドのアイスコーヒーがすきで、よくテイクアウトする。
ある日たまたま別のチェーン店で飲んだときに引っかかったことがある。
それは「ストローを、そのまま渡される」という、
ごく一般的な行為に対して抱いた違和感であった。
私の利用するマクドナルドの店舗では、飲み物を渡すとき、
ストローを袋から剥(は)いてカップに挿(さ)してくれる。
「ストローをお挿ししましょうか」という問いに、「お願いします」と答える。
すると、まずストローの包み紙の上から五センチくらいのところに切れ目をいれ、
下部の包み紙を取り外す。
それをカップに挿し、残った短いほうの包み紙を取り外して、顧客に渡してくれる。
「ストローの渡し方」における、A店の顧客への配慮の違いは、
一見小さな差に思えるかもしれないが、インパクトはかなり大きいのではないだろうか。
私自身は、ここまで丁寧なサービスをしてくれるマクドナルドに対し、
好感度は一段とアップしたのである。
たかがストローの話と言う方もいるかもしれない。
しかし、現実問題として一度よいサービスを受けてしまうと、
気づかないうちに当たり前になってしまい、
それが与えられないときに初めて違和感として認識するのだ。
私だけでなく消費者はどんどん贅沢になっていく。
無関係な人にとっては過剰と思われることでも、
サービスを受けている側はすぐにそれに慣れてしまう。
我々はそういう競争環境にいることを理解して、
自分の仕事に取り組まなければならない。
そして、真実はこういう、数字で表せない超細部に宿っているのである。
『残念な人の思考法』日経プレミアシリーズ
日常受けるサービスで、感動することは大きなことからではない。
我々は、ごく小さなことで、その店が好きになったり、通いつめたりする。
「神は細部に宿る」という言葉がある。
もともとは建築デザインからきている言葉だ。
建築のディテール(細部)こそが大事であり、
それが美につながる、といった意味だ。
以前聞いた話だが、スタジオジブリの宮崎駿監督は映画をつくる時、
最初にやることは主人公や主な登場人物のディテールを決めることだという。
どんな洋服を着ているのか、髪型、体型、顔はと、細部が決まれば、
あとは勝手に人物が動き出すという。
まさに、「神は細部に宿る」、だ。
競争はますます激しくなり、消費者はどんどん贅沢になる。
そして、小さな差が、大きな差別化要素となる。
競争社会では、大きなことではなく、
小さなことや細部に気を使い、こだわることが必要だ。
真実は超細部にこそ宿っている。 |
|
|