2010.5.30 |
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ベタベタしたつき合い |
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精神科医の斉藤茂太先生の心に響く言葉より…
私は人づき合いが好きなほうだが、人とベタベタつき合っていくのは嫌いだ。
ベタベタというのは、
いつも相手といっしょにいようとすること。
金魚のフンのように相手につきまとうこと。
相手の自由行動を許さないこと。
お互いに束縛し合うこと。
精神的にも物質的にも相手に寄りかかろうとすること。
甘え合うこと。
よけいなお世話を焼き合うこと。
必要以上に自分のプライベートのことを披露したり、
また相手の個人的な問題に足を踏み入れようとしたりすること。
こういうつき合いをしていると、
いっときは自分たちは仲よくやっていけているように思えるのだが、
必ずどこかでうまくいかなくなる。
人間関係がギクシャクし出し、時には激しく衝突し合うことになる。
こんな経験を持つ人たちはいないか。
◎人もうらやむような熱い恋愛をしながら、
半年もたたないうちにけんか別れをしてしまった。
◎この人とは一生の友だちとしてつき合っていけると思っていたのに、
いまは激しくののしり合う間柄になってしまった。
『すべてを「投げ出したくなった」ら読む本』新講社ワイド新書
人とのつき合いは、あっさりと、ほどほどがいい。
それを淡交(たんこう)という。
茶道でもよく使われるが、荘子の言葉からきている。
「君子の交わりは淡きこと水の如く、小人の交わりは甘きこと醴(れい)の如し」 (荘子)
「醴」とは、甘くてベタベタした甘酒。
立派な人物の交際は、水のようにさらっと淡々としているが、
つまらなぬ人物の交際は、甘酒のようにベタベタしている、との意。
ベタベタした関係は、子どものつき合いだ。
成熟した大人のつき合い方ではない。
淡々とは、時には冷たく思えることもある。
それは、相手を大人として扱い、主体性を大事にするからだ。
相手を束縛しないし、相手を変えようともしない。
長く続くカップルや友達は、ベタベタしていない。
相手にあまりに思い入れが強すぎると、自分も傷つけ、相手も傷つけることになる。
むしろ、つまらなそうに見えるつき合いかたにこそ味がある。
淡々とした交わりは粋だ。 |
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