2010.5.21 |
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マニュアルを超えた素晴らしいサービス |
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チェーンのハンバーガー店での素晴らしい話から…
入院していた15歳の息子がハンバーガーを食べたいというので、
病院の近くの銀座の裏通りにあるハンバーガーショップに行きました。
店に入って、子供に言われたものを注文すると、
若い女性の店員さんが、
「11時までは朝のメニューなので、ほかのものではいけませんか?」と言う。
私がちょっと困った顔をすると、彼女は、
「ちょっと待っていただければ、お作りします」と言って、
11時までまだ30分ほどあるのに、準備を始めました。
このようなチェーン店では、
すべてマニュアルどうりに受け答えするものと思っていた私は、
とてもびっくりしました。
作ってもらっているあいだに、子供が入院していることを彼女に話しました。
注文したハンバーガーを受け取り、店を出ようとすると私に、
店の奥から彼女が、「おだいじに」と声をかけてくれました。
私もびっくりしましたが、店にいたほかのお客さんも振り返っていました。
すごく感激して病院に戻って、子供に袋を渡すと、
「お父さん、こんなものが入っているよ」と、袋のなかから、
一枚のカードを取り出しました。
そこには、「早く元気になってくださいね」と書かれていました。
悪性の腫瘍(しゅよう)のため、それから半年後、
息子は16歳で早世(そうせい)しました。
二年間の闘病生活のなかで、たくさんの人々から励まされましたが、
この出来事は、今も思い出されてなりません。
(富山県大門町 藤井剛 44歳)
『涙が出るほどいい話』河出文庫
チェーンの飲食店は、マニュアルで運営され、
特殊な事例が起こったときは対応できないと揶揄(やゆ)される。
マニュアルがしっかりと完備されているところでも、
最低のサービスしかできない店もあるし、
涙の出るような素晴らしいサービスをしてくれる店もある。
どんなに機械化が進もうと、マニュアルがあろうと、
サービス業は、最後は人間が対応する。
つまり、人間力がものをいう商売だ。
だから、勤務するスタッフには、
人としての基本的な気配りや思いやりがなければならない。
もし、それがなくて、マニュアル通りのサービスをしたら、
木で鼻をくくったような、冷たいサービスにしかならない。
マニュアルを超えたサービスは、相手を思う気持ちと、
人を喜ばせたいという気持ちから生まれる。
常に、暖かな心で、
相手の立場に立って考え、行動したい。 |
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