2010.5.19 |
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失言は忘れ去られる |
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精神科医の斉藤茂太先生の心に響く言葉より…
失言をした後で、すぐ相手に電話をかけるとか、
手紙を書くというように、いわゆる「事後処理」をする。
これは悪いことではないが、注意してやった方がいい。
なぜなら、世間的に見て、明らかにルール違反をしたとき以外は、
やぶへびになる恐れがあるからだ。
わざわざ寝た子を起こすのは考えものである。
相手は失言に気がついていないかもしれない。
また、失言とは思っていないかもしれない。
また、あやまるのであれば、深刻にならないように、
「ごめん」「すまなかった」と、明るくあやまると、
お互いに不愉快な雰囲気に落ち込まずにすむ。
神経の繊細な人は、必要以上に相手の顔色をうかがうものだ。
気配りのこまやかな人は、おおむね、いい印象を相手に与えていることが多いから、
ちょっと口がすべっても相手は悪くとらない。
「暴言は人を傷つける、失言は忘れ去られる」という言葉がある。
言葉づかいひとつで、相手がムッとして、次から口をきいてくれないとか、
イジワルをするなんてことは、そうそうある話ではない。
もし、現実にそういうことがあったら、
それは相手がちょっとおかしいのであって、あなたが悩むことではない。
ただし、相手の心を土足で踏みにじるようなことを言ったのであれば、話は別である。
「あなたって、ホントにダメな人ですね」「バカ、アホ、マヌケ」
「お前なんか生きてる価値がない。死んじまえ!」
…こういうことを言ったのなら「失言」ではなく「暴言」である。
『口のきき方私の人間学』知的生き方文庫
我々は、時々失言をしてしまう。
特に、気持ちよく飲んでいる席などでは、
ついつい気が大きくなって失言をしてしまう場合が多い。
そして、繊細な人ほど、後で自分の言ったことを気にする。
相手が怒っているのではないだろうか、気分を害しているのではないか、と。
しかし、相手はそんなに気にしてはいないものだ。
逆に、いつも傍若無人(ぼうじゃくぶじん)な人は、
相手を傷つけるようなひどいことを言っても全く気にしない。
こういう人ほど謝ればいいのに、自分ではひどいことをしていると思っていない。
自分の失言を悩むような人は、気配りの人だ。
いい人ほど悩み、悪人は悩まない。
「失言は忘れ去られる」という。
必要以上に自分を責めず、悩まないことが大事だ。 |
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