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2010.5.17

真似することを馬鹿にしない

行動派心理学者の渋谷昌三氏の心に響く言葉より…

「出世をしたければボスの猿真似(さるまね)をしろ」
生き馬の目を抜くアメリカのビジネス界で語られている言葉です。
ヘアスタイル、ファッション、コーヒーカップ、車、趣味、

そしてしゃべり方まで、とにかく何でもかんでもボスの真似をする。
気持ち悪いと嫌われそうな気もしますが、実際は効果絶大。
実践する人は、しない人よりも明らかに出世が早いそうです。

わざと真似しないまでも、尊敬する先輩や上司と仕事をしていると、

いつの間にかしゃべり方や持ち物などが似てくるというのはよくあることです。

恋愛でも、「類似性の要因」で、自分と価値観や性格、

趣味などが似ている人に好意を持つ傾向があります。
何もこれは男女間にかぎったことではありません。

同じ学生寮で生活することになった17人の男子学生たちを追跡調査したところ、

彼らは次第に趣向、態度の共通したグループをつくっていきました(類似性の要因)。
しかも、仲のよい友人に自分と似たパーソナリティを持つ

と思い込む傾向のあることがわかりました。
さらに、自分が望ましいと思う性格に関してはその傾向が強かったのです。

つまり、ボスの真似をしているだけで、いつの間にかボスに好かれ、

さらにあなたの性格を望ましいと思い込んでくれるということ。
まさにこれは好循環。
ボスに好かれれば出世しないわけがありません。
真似の原則は、相手の行動に自分を合わせることです。
媚(こ)びてるなんて思わないこと。
『必ず誰かに話したくなる心理学99題』宝島社

学生時代、親しい友人と長くいるとしゃべり方や、しぐさなどが似てくることがある。

また、尊敬する講師の講演を何回も聞いていると、笑い方まで同じになっていることもある。

「学ぶ」は、「真似(まね)ぶ」ともいい、「真似る」ことからはじまったといわれる。
日本古来の芸事や武道などで言われる「守破離(しゅはり)」の「守」だ。

守とは、ひたすら師匠の教えを正確に守り、作法や形を身につけ、学ぶこと。
守りの次の段階は、その教えや形を破ること。
そして、その次の段階は、その教えからも離れ、独自の道を往くこと。

ビジネスの世界でも、自分のモデルとなる会社や店を定点観測して、

それを真似、自分のものにしてゆくという方法がある。
猿真似というと言葉は悪いが、本質的なところまで、

真似することができる人は、かなりの実力があるといえる。

監督や上司に好かれなければ、どんなに実力があろうと出世はない。
これは、芸事や、武芸の世界ではあたりまえのことだ。
このことを、媚びるとか、ゴマをするとか、卑しいと思っているうちは進歩はない。
どんな一流選手でも、最初は死に物狂いの真似からはじまるからだ。

真似することを馬鹿にしてはいけない。



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