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2010.5.16

妙観が刀はいたくたたず

作家の江坂彰(えさかあきら)氏の心に響く言葉より…

よき細工(さいく)は、少しにぶき刀をつかふといふ。
妙観(みょうかん・名工の名前)が刀はいたくたたず
(それほどよく切れない)。
『徒然草(つれづれぐさ)・第二百二十九段』

医者に聞いた話だが、名外科医といわれる人は、
少し不器用なところがあるという。
器用な医者は自分の腕を過信する、イバりたがる。
手術を甘く考えるから、かえって大成しにくいそうである。

これは、企業社会にもいえるだろう。
いわゆるキレ者社員は、短期決戦はともかく、
何十年もかかる長期の戦いに弱い。
キレ者は油断ならない。
キレ者に必要なのは、少しばかり間(ま)の抜けたところや
無口や愛嬌(あいきょう)のようなものである。

日露戦争のときの日本陸軍の名将・大山巌(いわお)は
鋭すぎる才知と短気さを、茫洋(ぼうよう)たる風貌の中に隠した。
重要な決断、リーダーとして自分がやらなければならないときは自分でやる、
大したことがないとき、参謀まかせで十分なケースは動かない。
大山巌という名指揮官は、意識的に自分の才知を隠し、
鈍刀のふりをしたのである。

日本海戦の司令官・東郷平八郎は、若いとき、
ペラペラよくしゃべる議論好きな男で、抜け目がなく、
逆にいえば行動の軽がるしすぎるところがあった。
だが、それじゃリーダーになれないと
大久保利通に一喝(いっかつ)されて無口になり、
鈍い刀のようになっていった。

『わが座右の「徒然草」』

徒然草は兼好法師(けんこうほうし)の書いたものであるが、
日本三大随筆の一つといわれる。

妙観仏師は、仏像彫刻の名工で、彼の使う刀は、それほどよく切れない、という。
実際には、刃物は切れなければ、役に立たないが、
あまりに切れすぎては駄目だ、と兼好法師は語る。

キレ者は、自らが優秀なるがゆえに、
他人の失敗や、効率の悪さがひとつひとつ気になる。
自分がやったほうが早いし、何でもすぐに出来てしまうからだ。
だから、人に任せることができない。

優秀な指揮官は、茫洋(ぼうよう)としている。
しかし、これは才能がないからではない。
ありあまる才知を隠すからこそ、そこに重みや深さが出てくる。

とりたてて才能がない者が、努力もせずボーっとするなら、
さらに成功からは遠のく。

鋭い錐(きり)のような人間は、自らの能力を隠し、
ペラペラとしゃべる軽がるしい男は、無口に。

自分からは、あまりしゃべらず人の話を聞く人。
そして、少し間が抜けていたり、愛嬌のある人が好かれる。



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