2010.5.8 |
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だからサプライズがやめられない |
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超売れっ子の放送作家であり、脚本家の小山薫堂氏の心に響く言葉より…
毎日特別な行事があるわけではありません。
それでも、ワクワクする気分をつくる努力はしています。
その気分づくりの手段の一つがサプライズなのです。
どうやって人をサプライズしようかな、言い換えると、
どうやって喜ばせようかな、といつも考えているわけです。
日常のなかで、ぼくはタクシーの運転手さんと仲良くなろうと心がけています。
仕事をしている運転手さんをいかに喜ばすか、
というのがひとつの発想のトレーニングになるんです。
運転手さんは普段、あんまり喜ばないですよね。
だから、どうにかして喜ばせたくなる。
タクシーの運転手さんをいかに喜ばせるか、
っていうのは日常におけるひとつの線引きになるんです。
「あの人を喜ばせることができたら、ほかの人も喜ばせることができる」ってね。
サプライズは、アイデアやセンスのトレーニングになっています。
日常の、ほんの小さなことでいいです。
あえてストーリーをつくらなくてもね。
企画とは、ひと言で言うと、「大切な人へのバースデープレゼントを考えること」
「あの人の好みは何だろう?」とか、「何をあげたら喜ぶだろう?」とか、
「いつ渡したらいいだろう?」とか、「どうやって渡したら驚くだろう」。
みんなに、「うわっ!やられた!」って言わせてみたい。
究極の企画というのは、「自分の人生をいかに楽しくするか」、
「いかに自分が幸せな気分で生きることができるか。」
『人をよろこばせるということ』中公新書ラクレ
小山薫堂氏のサプライズは、我々の常識を超えている。
ここまでやるか、と思うくらい、仕掛けに手間隙(てまひま)かかっている。
例えば、こんなこと…
若名というのは、うちの財務担当役員です。
彼と住友商事の飯塚さんのふたりをまとめてサプライズしよう、ということになった。
それでふたりを呼び、「うちの軽部(副社長)が恐喝で逮捕されたんです」と切り出した。
YAHOOのニセのニュース記事をつくっておいて、それを見せた。
「実はこういう記事が、すでに出回っていて…」。
ふたりは目が点になって、「困ったなあ」と頭を抱えた。
ぼくはさらに、こうつけ加えた。
「メディアからの取材があると思います。
出資先である住友商事にもご迷惑をかけるおそれがあるので、
どうか、対処をよろしくお願いいたします」
そのあと、「軽部さんって、そういう一面があったんですね」
などという話をしているうちに、軽部が入ってくる。
リーゼントのカツラをつけて、不良の格好をして、
「おうおう、おまえら、おれの噂してるんじゃねえよ」と言いながら。
ほとんど、小山氏の事務所では、バカバカしいようなことを本気でやる。
しかし、それが発想のトレーニングになっているという。
相手が涙を流して喜ぶのを見ると、とても幸せな気分になる。
だからサプライズがやめられない、という。
どんな企画も、相手を喜ばせようと思う気持ちから生まれる。
相手を喜ばせるには、誕生日のサプライズと同じで、相手の好きな物や、
好きなこと、最近興味あること、欲しがっているものなどを知らなければならない。
これをはずすと、相手の気持はピクリとも動かない。
いつもブスッとしている人も、年下も年上も…
目の前にいる人を喜ばせることを続ければやがて、自分の人生も楽しくなる。 |
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