2010.5.7 |
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相手チームをほめる人 |
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涙の元カリスマ塾講師、木下晴弘氏の心に響く言葉より…
つい最近、「ミラー細胞」というのが見つかり、脳医学で注目されているそうです。
どんな細胞かと言えば、そばにいる人と同じ表情をしたり、
相手の感情をそのまま反射したりする、つまり相手の気持ちを反映する細胞なんだそうです。
ということは、あなたが相手に思いやりの気持ちを向けると、
相手もこちらの気持ちにシンクロ(同調)するということになります。
母親が赤ちゃんに微笑むと、赤ちゃんも同じような表情を作ることがあります。
相手が「ありがとう」と言ってくれたら、自分も、「こちらこそありがとう」、という気持ちがわいてくる。
そうさせるのが「ミラー細胞」というわけです。
このニュースを聞いて、私は2007年、
夏の全国高校野球大会で優勝した佐賀北高校のことを思い出しました。
佐賀北高校は勉強に熱心な県立高校で、
チームも全国から野球のエリートをかき集めて作ったわけではありません。
そんな普通の高校が甲子園で優勝したということで、全国から大きな喝采を浴びました。
驚いたことに、その佐賀北高校、試合中に相手チームをほめるのです。
たとえば、相手がカーンとヒットを打ったとします。
すると佐賀北の一塁手が、塁に立った相手走者に言うのです。
「ナイスバッティング」
二塁打を打った相手には、二塁手が「素晴らしいですね」とほめます。
一方、打撃に入って三振を取られると、相手のピッチャーに「ナイスピッチング」と声をかけます。
普通はこんなこと絶対にしないでしょう。
結局、佐賀北は大会で一度も負けていません。
当たり前ですが優勝するということはそういことです。
一方、負けたチームも負けたのは一回きりです。
甲子園にはそういうドラマがあります。
一回しか負けていなくても、それで終わりなのです。
だからこそ、負けたほうはずいぶん悔しい思いをしたはずです。
しかし、佐賀北と対戦して敗れたチームはみな佐賀北のファンになってしまったのです。
そうして、勝つたびに佐賀北は多くの応援者をつけ、
県立高校としては11年ぶりの、甲子園全国優勝を果たしたのです。
『涙の数だけ大きくなれる!』フォレスト出版
試合で、相手を褒(ほ)め称(たた)える、こんな話はあまり聞いたことがなかった。
相手の、弱点を探し、大声で野次(やじ)を飛ばし、ミスを誘う。
そんな風景が当たり前だと思っていた。
ある一流のゴルフ選手は、優勝がかかったパットで、相手に「入れろ!」と願うそうだ。
もし、「はずせ」と願った時は、緊張感がなくなり、モチベーションが下がるからだ。
相手がそのパットをはずし結果的に優勝した時も、うれしそうな顔はしなかったという。
優勝のインタビューで、「残念です」と心から話した。
相手のミスを願ったり、相手を罵倒したり、野次ることは、自分のモチベーションを下げる。
マイナスの言葉を繰り返し言って、それが自分に影響しないわけがないからだ。
それも、大声で、強く言えばいうほど、自分にかえってくる。
ミラー細胞というのがあるという。
いい思念をもてば、いい結果がおきる。
微笑めば、微笑みかえしてくれる。
罵倒すれば、罵倒される。
「ナイスピッチング!」
「ナイスバッティング!」
相手チームをほめる人でありたい。 |
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