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2010.4.28

相手の話の腰を折る人

精神科医の斉藤茂太氏の心に響く言葉より…

悪気はないのに結果的に相手を傷つけて、
雰囲気を悪くしてしまうのは、相手の話の腰を折ることに代表される。

これは、生真面目な人が無意識のうちにやってしまうケースと、
自己顕示性性格の人が自らの知識をひけらかしたり、
自分が話題のワキ役であることにガマンできなくてやってしまうケースが多いようだ。

たとえば、相手がとうとうとしゃべっているときに、些細なミスを指摘したりすることである。
「先ほどはギリシアが、いまはギリシャとおっしゃいましたが、どちらが正しいのですか」
などと、話の大筋と関係ない些細な言葉の間違いや数字の違いを、ことこまかに指摘する。

どんな人でも、間違いを指摘されるというのは、うれしいことではない。
人間は恥をかくことによって、萎縮してしまうのものだ。

「間違いを指摘すること」で得ることと言えば、
「人の口を重くする」「話のリズムを崩す」「お互いの雰囲気を壊す」
「警戒心を呼び起こす」ことだけであり、まさに百害あって一利なしである。
弁護士と検事が法廷で争っているわけではないのだから、
小さなミスをいちいち指摘することはない。
おおらかな気持ちで、聞き流してしまえばいい。

『口のきき方 私の人間学』知的生きかた文庫


相手の話の腰を折る人は嫌われる。
些細なミスを指摘するタイプには、ブラックジョークで当人のミスや、
過去の失敗を指摘する人もいる。

同級生や友人などが、さも親しげに、
「この人はね、いつもホントはケチなんだよ。前にさぁ…」などと、
当人が主役のパーティーなどで言われたら、場(ば)は凍りつく。

会話の中で、その人が主役になっているとき、その人を盛り上げないで、
下げるような人は場を読めない人だ。

結婚式や、お祝いの席での挨拶も同じだが、
ルールはただ一つ、その人を盛り上げる話をすることだ。
ミスや失敗を指摘する人は、結局は自分の話をしている。

自分が中心にいたい人だ。
「自分のほうがもっとよく知ってる」、とか「自分のが偉いんだ」という、
「自分を認めて」という思いが出てしまい、結果的に自慢している。

誰しもが、自分を認めてもらいたい気持ちは持っている。
しかし、全員が主役になれるわけではない。

そんなとき、自分は一歩下がり、ワキ役に徹する人は、魅力的だ。

相手の話の腰は折らずに…
どんなときでも、人を盛り上げ、場を明るくできる人でありたい。



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