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2010.4.19

人間のおもしろ味は性格にあり

安岡正篤師の高弟と言われた、伊藤肇氏の心に響く言葉より…

たとい、そいつが悪党とわかっていても、魅力があれば、
どこまでもついていくし、反対にそいつがどんな善人で、
どんなに立派なことをいっても魅力がなければ、ついていきません。

イデオロギーとか、理論だけでは人は動かないのです。
ですから、友を選ぶ場合には、何よりも気質、性格が合うことを第一として、
主義主張の合う、合わないは第二にすべきです。

主義とか、主張だとかを信じているときには、
きわめて強いもののように思われますが、
一朝にして変わってしまう危険性を孕(はら)んでいるのです。

ということは、主義、主張で友人になると、
これが一変したら、仇敵になってしまうのです。
昨日の友は今日の敵です。

ところが、気質とか、性格とかは大体一生変わりません。
ですから、生涯の交わりを結ぶためには、気質、性格を互いに気に入り、
認めあえるようなものでなくてはならないのです。
つまり、互いの人格の中に共鳴し、
魅力を感じ合い、結合したものが永遠の友です。

人間のおもしろ味はどこにあるかといえば、それは性格です。
性格によって言葉つきも違えば、考え方も違います。
いいかえれば、性格がその人の運命です。
そして、人間に興味をもつということは、
その人の性格に興味をもつということです。

『帝王学の源流』(十八史略を読む)致知出版社


主義主張で、友や伴侶を選ぶと、大変なことになる。
政治の世界ではよくあることだ。
政党が変われば、昨日の敵は今日の友。

主義とは、愛国主義、自由主義、社会主義、営利主義、学歴主義、
快楽主義、菜食主義、完全主義、形式主義、合理主義、権威主義…

主張とは、言い張ることであり、その人の意見や持論だ。

あまりに主義主張をふりかざす人には、柔軟性がなく、
上から押さえつけられるような気がする。
情や、人間味(にんげんみ)に欠け、おもしろ味がないようにも感じる。

主義主張も時として変わるときがある。
生まれたときから死ぬまで、同じ主義主張であった人などいない。
勉強し、心を磨くことにより、人格が向上するからだ。

しかし、その人の持って生まれた気質や性格は変わらない。
たとえ、長年の仕事や、生活によって、
表面的な気質や、性格が変わったように見えても、
本質の部分では変わらない。

心理学でいう、6歳頃までの幼児体験が、
その人の気質や性格を形づくるといわれるからだ。
その体験とは、その人が幼児期に、どのような環境で育ったかで大きく変わる。

例えば、九州とか東北という、どんな地域で育ったのか、
社会主義や自由主義といった、どのような政治形態の国で生まれたのか、
家族や周囲がどんな宗教観だったのか、親の職業は、等々だ。

また心的な環境として、幼児期に父母から、愛や、優しさや、思いやり、積極的
といった肯定的なメッセージを受けとってきたのか、
逆に虐待、暴力、強権的、等々の否定的なメッセージで育ったのか等々。

人間のおもしろ味は、性格にある。
それは、表面ではわからない深い幼児期の体験が影響している。

人はイデオロギーや理論では動かない。
自分に合った人、好きな人に魅力を感じる。

性格はその人の運命だという。
ならば、どんな人とつきあうかも運命だ。



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