2010.4.10 |
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春風吹鈍(どん)な人は成功する |
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将棋の米長邦雄氏の心に響く言葉より…
芝公園にある中華料理の老舗、留園の盛社長はこう語った。
「勝負も商売も同じですよ。
運、鈍、根(うん、どん、こん)、この三つが大切だ。
世の中には、運と根の大切さに気づいている人はたくさんいる。
でも、鈍ということをわかっている人は少ないです」
盛さんは、世の中には賢くなろうとしている人ばかりで、
鈍(にぶ)くなろうという人はいなんだと言って笑った。
鈍な人とは、
「たとえば会って話をしてみたけれど、
何だこの男は、ちっともとらえどころがない。
もしかしたら馬鹿じゃないか。そう見える人間」
『運を育てる』祥伝社
米長氏は、勝利の女神が好ましいと判断し、
微笑んでくれる基準には二つあるという。
一つは、いかなる局面においても
「自分が絶対に正しい」と思ってはならないこと。
もう一つは、笑いがなければならないこと。
「絶対に正しい」と思ってはいけないとは、謙虚であるということだ。
世の中に、「絶対に正しい」はないと思ったとき…
相手の話をよく聞くようになる。
ミスや失敗に寛容(かんよう)になる。
あらゆる可能性を排除せずに、
最後まであきらめないで挑戦するようになる。
「笑いが必要」とは、自分を客観視できる余裕ができること。
どんなに悲惨で、切羽詰(せっぱつま)った局面においても、
そこに笑いがあれば…
力が抜け、リラックスできるので、思わぬ解決策や、力がわいてくる。
体に免疫力がつくのと同じように、心が明るく元気になる。
深刻にならずにすむ。
根とは、難事に耐える力であり、継続し努力する力だ。
何かに熱中する集中力でもある。
鈍とは、鈍牛のごとく、歩みはのろいが、茫洋(ぼうよう)として、
細かいことにこだわらない資質だ。
鈍とは反対の、鋭い、才気ばしった、
理と知の人間は時として、物事の判断を誤る。
そこに情や温かみといった人間味がないからだ。
鈍い人は、ボーっとして、馬鹿のようにも見えるが、
「人間的深さ」と、「赦(ゆる)し」を持つ人だ。
人間関係は、「片目をつぶり、もう片方も薄目で見る」くらいがちょうどいい。
鈍な人は成功する。
情と温かみをもった鈍な人でありたい。
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