2010.3.5 |
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相手の立場に立つ力 |
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北京オリンピックの競泳日本代表チームに招かれ、
「勝つための脳」の指導で大きく貢献した、
林成之教授の心に響く言葉より…
「相手の立場に立つ」という力は、
「仲間になりたい」という本能を磨くことによって、
その本能の礎(いしずえ)の上に成り立つもの。
つまり、相手の立場に立つ力は、
「もって生まれるもの」ではなく、
「鍛えることでしか身につけられないもの」なのです。
人間の脳がもつ機能のなかでは、非常に高度なものといえます。
「自分は友人がすくない」「人とのつながりは薄いほうだ」という人は、
この「相手の立場に立つ力」がついているかどうかを考えてみてください。
相手の立場に立てないと脳が同期発火できませんから、
意思疎通ができないため人が離れていってしまいます。
恋愛するのも、難しいでしょう。
「別に自分はそれでいいのだ」と開き直るのは危険です。
というのも、リタイア後に認知症を患う人の多くに共通するのが、
「人が寄ってこないこと」なのです。
これは、人とのつながりが薄いため、
脳への情報のインプットが減ってしまうことも一因ではなかと思います。
社会で立場をもっている間は、
「相手の立場に立つ力」が弱くても、
周囲との何らかのかかわりをもって過ごすことができるでしょう。
しかし、リタイアしていざ立場を失ってみると、
一緒に時間を過ごそうとしてくれる友人や知人がいなかった…
というのでは、あまりにさびいしい話ですし、脳への影響が懸念されます。
『脳に悪い7つの習慣』林成之・幻冬舎新書
同期発火とは、感情を込めて話をしたときなど、
相手が共感し、感動したりしてくれること。
人は、仲間になりたいという気持ちは誰もが持っている。
孤独は怖いからだ。
しかし、相手の立場に立つことができないと、友達はできない。
「相手の立場に立つ力」は先天的なものではなく、
後天的な努力によって身につけられるものだという。
後天的な努力とは、例えば…
人に話をするときは、感情を込めて、
わくわくどきどきしながら熱く語ること。
相手が、本当にほめて欲しいことを察知し、
そのことを手放しで、思いっきりほめること。
相手が何を考えているのか、
相手が何を望んでいるのかを考えて、
会話したり、行動すること。
テレビやドラマを見ていても、
自分だったらこうする、と考える訓練をすること。
劇作家の小山薫堂さんは、
このトレーニングを「勝手にテコ入れ」と呼んでいる。
レストランに行ったとき、
「僕だったらこういうサービスをする」と考える。
ポスターが貼ってあったら、
「私ならこういうデザインにする」と考える。
宣伝のコピーが書いてあったら、
「自分だったらこんなコピーにする」と書き出す。
等々、人から頼まれもしないのに、
いつも具体的に考え、訓練すること。
これは、商売だけでなく例えば、
道で子供を怒っているお母さんがいたとすると
「このお母さんは疲れてイライラしているんだな。
でも、こんなふうに言ったらいいのに」
と考える訓練でもある。
相手のしている行動を分析し、その理由も考え、感情移入する。
その上で、常に「自分ならこうする」と考える。
そんな、たくさんの「勝手にテコ入れ」を繰り返し、
「相手の立場に立つ力」を高めていきたい。 |
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