2010.2.24 |
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パラダイムの大きな変化 |
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私たちが将来について困惑することの多くは、パラダイムの変化に原因がある。
パラダイムの変化は、わたしたちすべてにとって、きわめて重要である。
ビジネスも、教育も、政治も、私生活も、パラダイムが変われば、
ゲームのルールが根本的に変わるからだ。
スイスは60年にもわたって、世界の時計市場を支配してきた。
世界で最高の時計を作ってきた。
歯車、ベアリング、ぜんまい、防水の研究で
つねに品質改良し、新製品を出し続けた。
1968年、世界の腕時計市場のシェアでをみると、
販売個数ベースで65%以上、
利益ベースで実に90%以上をスイスがにぎっていた。
ところが、1980年になると、
販売個数でみたスイスの市場のシェアは
10%以下にまで落ち込んでしまった。
それは、腕時計づくりのルールが根本から変わってしまったからだ。
電子時計の時代になり、スイスが得意としていたものは
すべて無用になってしまった。
そして、時計を作っていた六万二千人のうち、五万人が職を失った。
クオーツ時計には、ぜんまいも、ベアリングもないし、歯車もほとんどいらない。
そのクオーツの電子時計の技術を開発したのはスイス人だった。
しかし、この革命的なアイデアを自国の時計メーカーに持ち込んだとき、
相手にされなかった。
専門家と称する人たちにも、その変化を見抜けない人は多い。
例えば…
「蓄音機に、商業的価値はまったくない」
トーマス・エジソンが自分の発明品につてい語った言葉
「空気より重いものが空を飛ぶというのは、
まったく不可能でないにしろ、実際には役に立たず、意味がない」
サイモン・ニューカム(天文学者)
「分別があり、責任感のある女性は、参政権を要求しない」
グローバー・クリーブランド(アメリカ22代大統領)
「長距離移動の手段として、
自動車が鉄道に取って代わるなどと考えるのは、たわいもない夢である」
アメリカ道路協議会1913年
「人類が原子力を利用できるようになる可能性はまったくない」
ロバート・ミリカン(ノーベル物理学賞受賞)1920年
「世界で、コンピューターの需要は五台ぐらいだと思う」
トーマス・J・ワトソン(IBM会長)1943年
「個人が家庭にコンピューターを持つ理由など見当たらない」
ケン・オルセン(ディジタル・イクイップメント社長)1977年
『パラダイムの魔力』日経BP出版センター
昔も今も、パラダイムの大きな変化は常に起きている。
しかし、その渦中にいる人たちは、
その変化の始まりにはほとんど気付かない。
専門家も、評論家も、政治家も、一般の人も、それは同じだ。
パラダイムの変化があまりに激しい時には、
我々は一方向からしか見ることができなくなる。
昨今の大きな変化は…
土地神話の崩壊。
固定電話から携帯電話へ。
ガソリン車からハイブリットへ、そして電気自動車。
新聞・テレビの凋落とインターネットの隆盛。
百貨店、小売業の減少と、ネット小売、通販の躍進。
インフレからデフレへの加速。
レコードから、テープ、CD、そして、iPod。
我々は、身近なパラダイム変化を素直に見つめ、
自らの行動を変えるきっかけとしなければならない。
変化を察知するには、いくつになっても、
新しいことにチャレンジし、
恐れずに試してみる必要がある。
そして、違う業界、違う年代、違う性別、
違う職業の人たちと気軽に付き合うことが大切だ。
一方向からではなく、多角度から見るには、別の視点が必要だからだ。
パラダイムの大きな変化に乗り遅れないよう、日頃から感性を磨きたい |
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