2010.2.15 |
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インビクタス(負けざる者たち) |
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先日、クリント・イーストウッド監督の「インビクタス」を見た。
南アフリカのラグビーチームを中心とした物語だが、
マンデラ大統領役をモーガン・フリーマンが熱演している。
マンデラは前政権に27年間も投獄されていた。
そのマンデラが南アの新大統領になったとき、
大統領就任式に、投獄されていた当時の看守も招待した。
常人には計り知れない、
「赦(ゆる)しの人」だ。
その赦しはどこまでも果てしがない。
大統領を警護するチームに、前政権の白人の警護官を加えたり、
官邸の旧職員も慰留した。
「過去は過去だ。皆さんの力が必要だ。
我々が努力すればわが国は世界を導く光となるだろう」と言って。
黒人と白人が融和するための、
魂が震えるような言葉の数々…
「復讐はいけない。敵とこそ一緒に新しい国を作っていこう。」
「赦しが魂を自由にする」
「敵対より和解」
マンデラは、44歳から72歳までの、
人生の中でも、最も活躍できたであろう時期を監獄で過ごした。
大統領になったのは、76歳の時。
そして、その大統領もあっさりと一期で辞めている。
この赦しと和解の必要性を、釈放後
アフリカ諸国を歴訪して確信したという。
白人を追い出し、黒人単独で支配した国々は、
白人の持っていたノウハウが継承されず、
独裁となり、指導者の多くは腐敗し、
国家の運営は破綻していったからだ。
このインビクタスという言葉は、
ラテン語で「負けざる者たち」という意味で、英国の詩人の詩だ。
『負けざる者たち』
私を覆う漆黒の夜
鉄格子にひそむ奈落の闇
どんな神であれ感謝する
我が負けざる魂「インビクタス」に
無惨な状況においてさえ
私はひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ
血を流そうと決して頭は垂れまい
激しい怒りと涙の彼方には
恐ろしい死だけが迫る
だが、長きにわたる脅しを受けてなお
私は何ひとつ恐れはしない
門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が魂の指揮官なのだ
映画「インビクタス」パンフレットより
マンデラはこのインビクタスの詩を、獄中で心の支えにしたそうだ。
我々はどんな目にあわされてもけっして負けない。
それも、目には目をの復讐ではなく、「赦し」を持って。
「インビクタス」、多くの人に見てもらいたい素晴らしい映画だ。 |
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