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2010.2.9

歳をとるほど努力する

森祇晶(もりまさあき)氏の心に響く言葉より…

川上さんが監督になるとすぐ、
キャンプ中に野球とは関係のない、
社会の第一線で活躍しておられる方々を招いて、
講演会を始めた。

最初はぼくも、川上さんが一体なにをやろうとしているのか
見当もつかなかった。
ところが、話をきいてみると、これが実に面白い。

野球のことだけを考えているのではだめだぞ
ということが、ごく自然に心の中の入ってきた。

野球という狭い範囲の中だけで、野球のことを追求するよりも、
もっと幅広い分野から、いろいろなことを吸収したほうが、
かえって野球の本質に届くような気がしたのだ。

これらの人々は何より、話がおもしろく、またわかりやすかった。
難しい話をわかりやすくすることができるからだ。

興味深いひと言の裏には、何十年の苦労の積み重ねがある。

チャンスは誰にでもあるが、
努力を怠るものに幸運の女神はけっしてほほ笑むことはない。

若くして体力があふれているうちは、もちろんそんなことは意識しない。

残念ながら、歳をとるにしたがって、
若さという才能は目に見えて輝きを失っていく。

だから歳をとるほど、努力をしなくてはならない、
それも幅広い分野から、吸収できるものは何でも学ぶ必要がある。
『「一流になる」ために何をすべきか』森祇晶(もりまさあき)・講談社

森氏は読売ジャイアンツ(巨人)V9時代の正捕手で、
引退後は各球団の監督を歴任した。

西武監督時代は在任9年間でチームを8度のリーグ優勝、
6度の日本一に導いた名監督だ。

我々は、往々(おうおう)にして、自分の専門分野だけしか勉強しない。

特に、実践真っ只中のときは、そんな余裕はないと思ってしまう。

しかし、自らを高め、物事の本質を究めるためには、
専門外の勉強をする必要がある。

これは、教養を高める、という意味ではない。

あくまで、自分の人間性を高めるための、実践的な人間学の勉強だ。

リーダーの立場にあろうが、そうでなかろうが、この人間学は大事だ。

何を学ぶかというと、安岡正篤師は、人間の四要素があるという
(「運命を開く」プレジデント社より)。

第一は、「徳性」。

人間の本質であり、人格。
例えば、心の明るさ、清さ、
人を愛する、助ける、人に尽くす、
恩を知る、恩に報いる、
正直、勇気、忍耐等。

次に、「知性」、「知能」。

これがあるから、動物より抜きん出ることができた。

最後は、「技能」。

人間が他の動物より発達したのは、前足を手としたからだと言うこともできる。

しかし、この知性、知能、技術は、「徳性」に比べたら、たいした問題ではない。

つまり、我々は、技術を磨く以上に、徳性を磨かなければいけない。

大事なことは、勉強や努力は歳をとればとるほど、必要だということ。

若いうちは、力任せに、体力勝負でなんとかごまかせるが、
だんだん年齢を重ねると、そうはいかない。

チャンスの女神に好かれるために、
いくつになっても勉強と努力をやめずに頑張りたい。



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