2009.12.29 |
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リスクを背負って生きる |
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熱工学の世界的権威である上原春男氏の心に響く言葉より…
企業はもちろん、国でも、個人でも
リスクを背負(せお)っているということは、
その成長には必ずしも不利ではないということである。
リスクを背負っていない企業は、
どのように大きな企業でも、きわめてアブない。
その例をあげると、いくつもある。その典型が旧国鉄だ。
国営企業は親方日の丸で、経営のリスクがない。
社員は働かなくても、給料はもらえるし、
わが身は安泰と思い込んでいる人が多い。
リスクがないから、
利益をひねり出すための創造性を働かせる習慣がついていない。
結局、旧国鉄は、莫大な負債をかかえ、倒産し、JRに衣替えした。
日本は、国としては、まさにないない尽くしの国である。
日本の国を、人にたとえれば、金もない土地もない、
容姿もたいしたことない人間というところだ。
国として、これほどリスクを背負った国はないかもしれぬ。
このように、リスクのみを背負った国が、一人前の国に成長し、
ついには世界一の経済大国になったのはなぜであろうか。
それは、日本人が、このリスクを
マイナスからプラスに転じさせる努力をしたことによる。
『成長の原理』上原春男・日本経営合理化協会
上原先生の講演は何回も聴講したが、常識とは逆のことをいう。
「会社に、人材がいない」
「金がない」
「工場が古い」
「学歴がない」
「顔立ちが悪い」
と、嘆く経営者に
「人材がいない、金がない、何がない、
というのは結構なことではないですか」、と話す。
一代で大会社をつくった名経営者と何人も会ったが、
誰もが、ないない尽くしの中から事業を興し、
苦労の末に大企業に成長させている、という。
すべての条件が整って、事業を興した人は皆無に近い。
押し寄せる様々なリスクを次々と克服し、
それを飛躍のバネとして、事業を拡大した。
人間でも、これはまったく同じである。
全てが整っていたら、努力をしなくなる。
その環境に安住してしまうからだ。
リスクがあるからこそ真剣になり、
条件が整っていなからこそ考え、
創造性を発揮するようになる。
様々なマイナスのリスクを背負っていることは、
むしろ成功の要因、と考えを改め、
リスクをプラスに転じる努力をしていきたい。
ニコッと笑ってリスクを受け止められたら最高だ。 |
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