2009.12.19 |
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大人げない大人になれ! |
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元マイクロソフト(日本)社長の成毛眞氏の胸に響く言葉より…
【大人げない大人になれ!】
私が初めてマイクロソフトの米国本社を訪れたのは、
アスキーに入社して1週間ほどたった日のこと。
当時はまだ、マイクロソフトもビル・ゲイツもほとんど無名である。
オフィスに足を踏み入れ、最初の目に入ってきたのは、
口から血を流して廊下に倒れている社員だ。
出鼻から、この会社は大丈夫なのかと不安になったことを覚えている。
気を取り直して、ビル・ゲイツへの挨拶を済ませようとするが、
オフィスのどこにもその姿が見当たらない。
この時間に訪問することは伝わっているはずである。
仕方なく本社の社員に居場所を尋ねると、
「さっき廊下で寝ているのを見かけたけど」と平然と言われてしまった。
まさかと思ったがそのとおり、廊下に倒れていた男が
ビル・ゲイツ本人であった。
ちなみにこの時、血に見えたのはハンバーガーのケチャップだ。
ビルは口の周りを真っ赤にして拭きもせず、
廊下に倒れこんで仮眠をとっていたのである。
今でも私は、ビル以上に子供のような人とは出会っていないのだ。
通常、大人げないという言葉は、
思慮分別がないことやばかげたことを指し、
ほとんどの場合、あまり褒められた意味では用いられない。
しかし、この大人げなさこそが生きるうえで重要な要素であり、
かつ誰もが内に秘めた資質なのである。
では、望まれる大人げなさとはどういうものだろうか。
まず挙げられるのは、物事に夢中になる、ということだ。
夢中になることを意識的にコントロールすることは不可能である。
だから、夢中になれることに出会えたならば、
その幸運に感謝しなければならない。
そしていったん見つけたら、
それがどんなに小さいことやくだらないことであっても、
大事にするべきである。
ベンチャービジネスを考えるにあたっては、
あまのじゃくさが重要だ。
若者がラーメン屋やブティックを一軒だけ経営し始めたところで、
ベンチャーとは呼ばない。
ベンチャービジネスとは、権力や権威に反抗し、
他人が無視しているようなものに己の人生を賭けることである。
これに価値が付加され、人を追従させることができると、
そこに差益が生まれ大きな儲けを手にすることができるのだ。
新しいチャレンジをしない、他人と同じであることに安心する、
知らないことに対して嫌悪感を持つ。
これらはすべて保守的な人間の特徴である。
こうした特徴は無意識のうちに現れてくるため気づきにくいものだ。
残念ながら保守的な人間というものは、どんな組織にも必ず存在する。
彼らは過去の成功体験に酔い、ふんぞり返っているか、
厄介な仕事が自分に降りかかってこないよう気配を消しているものだ。
『大人げない大人になれ!』ダイヤモンド社
久しぶりに痛快な本に出会った。
「大人げない大人になれ!」とは、心を揺り動かす言葉だ。
大人になると、たいていの人は、子供の頃のことを忘れてしまう。
子供の頃、時間のたつのも忘れて夢中で遊んだこと。
新しいことを必死で練習し、上達しようとしたこと。
私が勉強してきた心理学「TA(トランザクショナル・アナリシス)」
いわゆる、交流分析では「心」を三つの自我状態に分ける
「親」と、「大人」と、「子供」の三つだ。
その中で唯一、喜怒哀楽という感情を表すことができるのが、子供の心だ。
うれしい、楽しい、ゆかい、笑い、冒険、遊び、いたずら、茶目っ気、挑戦、等々。
これらは、子供の心になったときだけ出すことができる。
例えば、堅物と言われる人は、心が硬く、子供の心を忘れている。
あまりバカなことはしないし、はしゃがない。
知らず知らずのうちに、人間には殻ができる。
特に、男性にはできやすい。
なぜなら、女性に比べ、男性は社会で見栄をはったり、
肩書きを重視したり、上下関係を意識する習慣が身についているからだ。
子供には、そんなまわりを気にするような意識はあまりない。
大声で、泣きたいときは泣くし、笑いたいときは笑う。
もちろん、いくら子供の心が必要だと言っても、
それが、行き過ぎると、わがままで、傍若無人になったり、
依頼心が強かったり、人にこびたり、反抗的だったりする。
我々は、子供心を持った大人である必要がある。
そうでなければ、冒険も、挑戦も、夢を持つこともできない。
「大人気ない大人になれ!」
いい言葉だ。 |
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