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2009.10.29

アホは神の望み

筑波大学名誉教授の村上和雄先生の素敵な言葉から…

「苦しいときこそ笑っていられる」ようなアホやバカが
いまこそ必要なのだということを述べたい

笑いが減るのと平行するように世の中に利口な人が増えました

頭の回転が速く、目先のことに鼻がきいて、機を見るに敏

人に先行して、競争に強く
ムダや抜け目がなく、合理的かつ効率的で

どんな問題もすばやく解いて
決められた道を最短距離で行くことが得意
いわばそんな人たちです

しかし、そういう利口な人たちを見て気づくことがあります
一つは、その利口やかしこさのスケールがどこか「小さい」点です

頭は切れる、学歴も高い、知識も豊富だ

しかし、ヘンに世間知らずだったり
人間関係がうまく結べなかったり

人の心の機微に疎かったり
あるいは分析は鋭いけれど視野がせまかったり

理が勝ちすぎていて柔軟性にかけていたり…

「アホは神の望み」(村上和雄)サンマーク出版

村上先生は、DNA解明の世界的権威で、
現在ノーベル賞の有力候補とされる注目の人だ

頭脳明晰で、知の塊のような村上先生の言葉だけに
かえって胸に響く

村上先生とも親しい行徳哲男師も次のように語っている

『狂愚(きょうぐ)まことに愛すべし』

日本人に「ど阿呆」がいなくなった
ど阿呆とは狂愚の人と言ってもいい
例えば吉田松陰である
彼は「狂愚まことに愛すべし、才良まことにおそるべし」と言った
狂愚は愛すべきだが
頭のいいだけの人間がいかに恐ろしいかを知っていたのである

松陰はまた
「狂は常に進取に鋭く、愚は常に避趨(ひすう)に疎し
才は機変の士多く、良は郷原の徒多し」とも言う

愚があるから計算をせずに新しいことに挑める
「ど阿呆」とは大愚の世界
これ以上の大きな悟りはない
 
(行徳哲男)

避趨(ひすう)とは逃げることであり

「愚」 は逃げ去ることに疎(うと)いこと

才は機変の士多く、良は郷原(きょうげん)の徒多しとは
才人は、しばしば変節する者多く

良識人は道徳家を装って、郷里の評判を得ようとする俗物が多い

小利口で小才がきいた輩(やから)は逃げ足が速い
常に効率や合理性を考えて行動するからだ

真の人物は
どこか抜けていて、味があって、どっしりと構えている

小賢(こざか)しく、ちょこまかと動き回る人間ではない

我々は、ともすると狂愚の人

ど阿呆な人を疎んじる

しかし、一旦なにか事あった時に、頼りになるのは
小才のきいた小人ではない

狂愚の人は愚直で、律儀で、素朴で、誠実な人

つまり、至誠(しせい)の人だ

至誠とは、まごころをもって、誠実を尽くすこと

吉田松陰は
「至誠にして動かざるものは、 未だこれ有らざるなり」
といった

すなわち、「至誠天に通ず」の心意気

誠を尽くせば、それは必ず天に通じる

まさに、「アホは神の望み」だ



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