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2009.10.18

見巧者(みごうしゃ)

以前、テレビを見ていたら寄席の手妻師が出ていた

手妻(てづま)とは今の手品のこと
稲妻(いなづま)のように手を早く動かすところからきたそうだ

手妻と手品の違いはそこに物語性があるかどうかだという

蝶の舞という扇子の上で蝶が舞う芸をやったが
そこでは、蝶の一生が表されていた

その際、その手妻師が面白いことを言っていた

最近のお客には見巧者が少なくなった、と
見巧者(みごうしゃ)とは
芸を見慣れた、目の肥えた観客のこと
いわば、お客の玄人(くろうと)

歌舞伎だったら
「成駒屋!」とか「中村屋!」とか
「大向こう」から声を掛ける人

見巧者でないと
タイミングがちょっとでも狂ったら芝居が台無しになる

落語だったら
同じ噺家の話を何年も聞き続け
その噺家の進歩がわかる人

のべつ笑うのではなく、ちゃんと面白いところで笑える人

時には厳しいことも言うが
その噺家さんや、歌舞伎の役者を
育てて楽しむという姿勢がある人

贔屓(ひいき)が基本だからだ

古典落語は時代背景といった知識も必要だ

廓(くるわ)や長屋、湯屋、髪結い… 
最近では、そういう言葉がわからない人も多いそうだ

昨今は、お金を払ったのだから
自分は「お客だ」と威張る人が多い

そういう人は、傍から見ていて見苦しいし
まわりも嫌な気分になる

店がまず努力し、よいサービスや商品を提供するのは
当たり前中の当たり前の話だが

しかし、世知辛い世の中
お客も店に好かれ喜ばれる努力をしてくれたら
どんなにか世の中が円滑になることだろう

食べる巧者
買う巧者
聞く巧者

出しゃばらなくて威張らない
玄人のお客

お金を払っているのに店の人を楽しませる
粋なお客

店からも喜ばれ店を育てる
そんな見巧者は人に好かれる



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