2009.10.4 淡々と生きる 明末の読書人 陸紹湘客（りくしょうきゃく）が書いた箴言集（しんげんしゅう）が　　 「酔古堂剣掃」（すいこどうけんそう） その中の大好きな一節から 人一字知らずして而（しか）も詩意多く 一偈（げ）参ぜずして而も禅意多く 一勺（しゃく）濡（ぬ）らさずして而も酒意多く 一石（せき）暁（さと）らずして而も画意多きあり 淡宕（たんとう）の故なり まったく文字を知らない勉学も知らぬ野人である そんな人なのに 何故か詩的であり詩人である 座禅など一度もしたことがない 禅の勉強もしたことがない それなのに、何故か禅的である 禅味あふれ、飄々（ひょうひょう）としている まったく酒は一滴も飲めない なのに、何故か宴席の座持ちもよい 酒飲みとも話ができる 酒の趣味もわかる 石ころ一つ描くことができない 絵を習ったこともない それなのに、何故か絵心がある ちょっと味のある絵も描く こういう人は人間が無欲であって 物事にあまり拘泥（こうでい）せず 淡々としているからだ 　（安岡正篤） 世の中にはクサイ人間がいる 知ったかぶりをする 威張る 見栄を張る 誇張していう 自分を大きく見せようとする しかし まったく威張らず あまり表にも出ず 有名でもないのに 実力がある人がいる 「無名有力」の人だ 淡々として拘（こ）だわらず 飄々（ひょうひょう）と生きる 味があって奥ゆかしい しかし実力はある そんな生き方ができたら幸せだ 人の心に灯をともす　一覧へ戻る