2009.9.22 |
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一期は夢よ |
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もう、かなり前の話ですが日経新聞のコラムに書いてあった
とても気に入った記事から
香港政府から生活保護を受けて暮らしていた老人が亡くなった
その何でもない死が香港で関心を集めているのは
貧窮の中で死んだと思われた彼に二十五億もの隠し財産が
あったことが見つかったためだ
75歳で病死した蔡晶明さんの暮らしは極貧そのもの
服は一年を通じて八着のみでパンツも二枚しかない
冷や飯は当たり前だし20平方bの狭い部屋がねぐら
蔡さんはしかし
株取引のブローカーとしての稼ぎを長年ため込んだ
億万長者だったのである
「『股神(株の神様)』だったのではないか」
蔡さんは株好きの香港人の間で信仰の対象にさえなっている
確かに、ウソの申請をして毎月三万円の生活保護までせしめていた
吝嗇(りんしょく)ぶりはさておき見事、
二十五億もの財をなした才はやはり賞賛に値しよう
(中略)
真昼間、上半身裸で悠々とうたた寝を
している路上のオジサンたちも実は…
ちなみに、降ってわいたような巨額の遺産相続をめぐって
蔡さんの内縁の妻と実弟が係争中だ
何(なに)せうぞ くすんで 一期(いちご)は夢よ ただ狂え
(閑吟集 )
何になろう、まじめくさってみたところで
所詮、人生は夢よ
ただ狂えばよい
株を増やすためだけに生活を切り詰め
嘘をついて生活保護まで受け
一切贅沢をしようとしなかった蔡さん
生活保護のウソは言語道断ですが
これもある面での狂気です
生活のことも稼ぎも何も考えず
面白おかしく遊び暮らすのも狂ですが
人から何と言われようと
わき目もふらず、体面も気にせず
自分の信じたことをやり続けるのも狂です
狂とは集中することだといいます
現代人は冷めて物を見る癖があります
だからなかなか狂えません
理性では理解できない「狂気」
何かことをなす時には「ただ狂う」ことも必要かもしれません |
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