2009.9.19 |
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六中観(ろくちゅうかん) |
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私の好きな言葉に『六中観』がある
六中観は東洋学の泰斗、安岡正篤氏の「百朝集」と「後漢書」からの言葉だ
死中有活
苦中有楽
忙中有閑
壺中有天
意中有人
腹中有書
死中有活(しちゅうかつあり)
絶体絶命の中にも活路はあり、死ぬ気でやれば道はひらける
苦中有楽(くちゅうらくあり)
どんな苦しい中にも楽しみは見出せる
忙中有閑(ぼうちゅうかんあり)
すさまじい忙しさの中、一瞬の閑、これが一番ほっとする時間
意中有人(いちゅうひとあり)
心の中に尊敬する師を持ち、誰かに推薦できる人があること
腹中有書(ふくちゅうしょあり)
自分の哲学や座右の銘、愛読書を持っていること
この6つの言葉のなかで一番好きなのは
壺中有天(こちゅうてんあり)
狭い壺(つぼ)の中に広々とした天(空)があるという意味で
何か事あった時には
「誰にも邪魔されない心休まる自分の別世界を持つことが必要だ」とのこと
その出典となっている物語がある
《費長房(ひちょうぼう)の壺中有天》
費長房は役所に勤めていた
役所の2階から何気なく通りを眺(なが)めていたが
そこには壺を売っている店があった
やがて店じまいの時間となると売り手の老人が周りを見回し
誰も人がいないのを見計らって
店先の大きな壺の中に入っていったまましばらく出てこなかった
不思議に思った費長房は役所が終わるとその店に行き
売り子の老人をつかまえ先ほどの状況を問い詰めた
老人は
「見られてしまったか仕方が無い、ついて来なさい」と
大きな壺の中に誘った
壺の中に入ってみると
そこには
花が咲き
鳥が鳴き
真っ青な青空が広がる
別世界だった
(後漢書より)
意外や意外、こんな人が
驚くような趣味や特技を持っている
一流の技ををもっている
奥ゆかしい芸を持っている
どんなに忙しくても
どんな境遇にあろうとも
どんなに困窮していようとも
人には別世界が必要だ
地位とか名誉も関係の無い世界
ここにくればホッとする世界
傷ついた気持ちが癒される世界
そんな別世界を持つことができる人は幸せだ
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